目次
🔖 原文(日本語訳)
「すっかり覆いをときほごされてやすらぎに帰したバラモンは、全く安らかに臥す。
諸の欲望に汚されない人は、解脱していて、煩悩の汚れが無い。」
――『ダンマパダ』第1章「双句品」第28偈
📝 逐語訳
- すっかり覆いをときほぐされた:無知・妄念・煩悩など、心を覆っていたものを完全に取り払った状態。
- やすらぎに帰したバラモンは、安らかに臥す:真理に目覚めた人は、心に波がなく、深い平安の中で安らかに生きている。
- 諸の欲望に汚されない人は解脱していて、煩悩の汚れが無い:欲望に巻き込まれることなく、心が清浄で自由である。
🧩 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
覆い(アーヴァラナ) | 無明(無知)、我執、貪瞋痴など、真理を見えなくする心の汚れ。 |
バラモン | ここでは階級の意味ではなく、「煩悩を断ち切った解脱者」を指す。 |
欲望(カーマ) | 感覚的快楽への執着、心を乱す対象への追求。 |
解脱(ヴィムッティ) | 煩悩の束縛を断ち、完全なる自由に至った状態。 |
臥す(スッカン・セーヤティ) | 単なる睡眠ではなく、「心の深い休息」「平安な安住」を意味する比喩。 |
🌐 全体の現代語訳(まとめ)
心を覆っていた無知や執着をすべて手放した人は、静かに、何の不安もなく安らかに生きている。
その人はもはや欲望に引きずられることなく、煩悩という汚れから完全に自由であり、真の「やすらぎ」に至っている。
💡 解釈と現代的意義
この句が教えてくれるのは、「外的な安定ではなく、内なる静けさこそが真の幸福である」ということです。
- 現代社会では、絶え間ない情報・欲望・競争にさらされ、心が疲弊しやすい。
- しかし、執着から離れ、心を観察し、静めることで、何にも左右されない安らぎの境地は得られる。
- 解脱とは出家や宗教行為に限らず、日常の中で欲望に飲まれない生き方として現代に応用できる。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈・適用例 |
---|---|
心のマネジメント | 外的成果ではなく、内的安定を重視することで、持続可能で冷静な判断ができるようになる。 |
ストレス管理 | 欲望(昇進欲・他人との比較・過剰な成果主義)を適切に制御できる人は、ストレスに強く、安定して働ける。 |
リーダーの在り方 | 煩悩(名誉欲・支配欲)から離れたリーダーは、部下にも安心と信頼を与えられる。 |
働き方改革 | 外的評価ばかりを追わず、「心の清浄・平穏」を指標にする組織文化が、人材の定着と創造性を生む。 |
✅ 心得まとめ
「静かな心に、真の強さと幸福が宿る。」
欲望の波に振り回されていては、真の休息も満足も訪れません。
逆に、心の中の執着を少しずつ手放していけば、どんな状況の中でも深い安らぎを得ることができます。
この安らぎこそが、**現代に生きる私たちにとっての「実践的な解脱」**なのです。
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