■ 引用(出典)
六*
うるわしく、あでやかに咲く花でも、香りの無いものがあるように、
善く説かれたことばでも、それを実行しない人には実のりがない。
(『ダンマパダ』第18章 第6偈)
■ 逐語訳
- 見た目に美しく咲き誇る花であっても、香りを持たない花がある。
- 同じように、いかに立派に語られた真理の言葉であっても、
- それを行動に移さない者には、なんの実りももたらさない。
■ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
うるわしく、あでやかに咲く花 | 美しい外見・表現・言葉。見た目の魅力。 |
香りの無いもの | 実質や内面の価値に欠ける状態。真の効力がない。 |
善く説かれたことば | 真理を語る高尚な教え。仏法、倫理、理念など。 |
実のりがない | 成果・成長・徳が伴わないこと。空虚な言葉に終わること。 |
■ 全体現代語訳(まとめ)
どれほど美しい花でも、香りがなければ感動は薄れるように――
どんなに立派な言葉や教えを語ったとしても、それを実際に行動で示さない者には、真の価値や成果はもたらされない。実践なき知識は空虚に終わる。
■ 解釈と現代的意義
この偈は「知っていること」と「していること」の間の深い断絶を私たちに問いかけます。知識や美辞麗句が溢れる現代において、実際にそれを生きるかどうかが人の価値を決めます。知っているだけの人ではなく、それを体現する人にこそ、信頼と尊敬が集まるのです。
■ ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用の仕方 |
---|---|
理念と行動の一致 | 「顧客第一」「誠実」と言いながら、実際には数字優先や不誠実な応対をする――それは香りなき花である。 |
リーダーシップ | リーダーが語るビジョンや方針に、自らの行動が伴っていなければ、メンバーはついてこない。実践による背中の説得力が鍵。 |
自己ブランディング | SNSやプレゼンで華やかに語るだけでなく、日常の行動や選択にその信念が宿っているかが、真の評価を決める。 |
■ ビジネス心得タイトル
「語るな、香れ――実行こそが最大のことば」
言葉は美しくても、香りがなければ人の心は動かない。香るとは、行動に真理が宿っているということ。静かに実行する者こそが、最も雄弁に語っているのだ。
この偈は、知識と行動の一致を生きる覚悟を促すものです。
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