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徳の香りは、風をも超えて届く


目次

■引用原文(日本語訳)

第四章 花 第五十四偈

花の香りは風に逆らっては進んで行かない。
栴檀(せんだん)もタガラの花もジャスミンもみなそうである。
しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んで行く。
徳のある人はすべての方向に薫る。
― 『ダンマパダ』第4章 第54偈


■逐語訳(一文ずつ)

  1. 花の香りは風に逆らっては進んで行かない。
     → 通常の香り(物質的香)は、風の方向にしか広がらない。
  2. 栴檀もタガラの花もジャスミンもみなそうである。
     → 名高い香り高い花々も、同じように自然の風に従う。
  3. しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んで行く。
     → だが「徳(道徳的行為や人格)」の香りは、環境や状況に制限されず、あらゆるところに届く。
  4. 徳のある人はすべての方向に薫る。
     → 真に徳を備えた人は、東西南北・時間や場所を問わず、その影響力を放つ。

■用語解説

  • 栴檀(せんだん):香木の一種。高貴な香りの象徴。
  • タガラ:芳香植物。白く小さな花で強い香りを放つ。
  • ジャスミン:甘く芳しい香りを持つ花。インド文化でも聖なる香りの象徴。
  • 徳のある人々:五戒や十善業を守り、慈悲・智慧・誠実などの人格を体現する人。
  • 香り(ここでは比喩):徳の放つ影響力、名声、尊敬、心の美しさの象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

花の香りは風向きに従うが、徳を持った人の香り(人格・影響力)は、いかなる障害や方向をも超えて広がる。その徳は世界のどこでも人々に感化を与える。


■解釈と現代的意義

この偈は、**「徳は無形の力であり、どこにいても誰にでも届く影響を持つ」**という普遍的なメッセージを伝えています。
それは地位や名声、環境に左右されることなく、行いそのものが放つ力であり、目には見えなくとも人々の心に届きます。

今日の社会でも、肩書きや広告よりも、誠実な行いが長く人々の記憶に残ることを、仏陀はこの詩で美しく示しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
企業の本質的価値本当のブランド力は、表面的なイメージではなく、顧客・社会に対する一貫した誠実な対応に宿る。
個人の評価と信頼一時の成果や派手なパフォーマンスよりも、日々の地道な徳ある行動が、周囲に信頼を築く。
文化の浸透組織における「徳」は、トップや数人の影響だけでなく、あらゆる社員の行動を通じて全方位に広がっていく。

■心得まとめ

「風に乗らずとも、徳は香る」

仏陀は語ります――地位や環境に頼らずとも、徳を備えた人は自然に影響力を持つ
行動の一つ一つが、静かに、しかし確実に世界を変えていく。それが、真に香る人の生き方なのです。

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