孔子は、常に自らの心と行いを点検することの大切さを説いた。
「徳が身につかなくなっていないか。学びが滞っていないか。正しいことを聞いても、行動に移せていないのではないか。よくないと知りながら、改められずにいないか」――
これら四つの問いを、孔子自身が日々省みていた。
学ぶ者として、また人として、進むべき道を見失わないために必要なのは、絶えざる内省の眼である。
原文・ふりがな付き引用
子(し)曰(い)わく、徳(とく)の脩(おさ)めざる、学(がく)の講(こう)ぜざる、義(ぎ)を聞(き)きて徙(うつ)る能(あた)わざる、不善(ふぜん)の改(あらた)むる能(あた)わざる、是(こ)れ吾(わ)が憂(うれ)えなり。
注釈
- 徳の脩めざる … 人格や道徳性を磨く努力を怠っていないか。
- 学の講ぜざる … 学問を探求し深める姿勢が弱っていないか。
- 義を聞きて徙る能わざる … 正しいとわかっていても、実行に移せない自分はいないか。
- 不善の改むる能わざる … よくない行いをやめられない弱さを放置していないか。
- 憂えなり … これらすべてが、自分にとって深い憂いの種であるという意味。
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