目次
🔖 原文(日本語訳)
「老いに至るまで戒しめをたもつのは楽しい。
信仰が確立しているのは楽しい。
意義と趣旨を楽しむことは楽しい。
悪を為さないのは楽しい。」
――『ダンマパダ』第1章「双句品」第20偈
📝 逐語訳
- 老いに至るまで戒しめをたもつのは楽しい:年を重ねても自制・節度を守り続けられることは、深い満足と尊厳を生む。
- 信仰が確立しているのは楽しい:心のよりどころ(信・法・仏)を持ち、揺るがぬ信念を得ていることは安心と喜びをもたらす。
- 意義と趣旨を楽しむことは楽しい:学んだ教えの本質・目的を理解し、その深みを味わうことは知的かつ精神的な悦び。
- 悪を為さないのは楽しい:不善を避け、清らかに生きることは、心の平和と自尊心を育む。
🧩 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
戒しめ(シーラ) | 行動・言葉・思考を節制し、道徳的に生きるための規律や自律。五戒などを含む。 |
信仰(サッダー) | 仏・法・僧への信頼。倫理的信念。真理を信じる確かな心。 |
意義と趣旨(アッタとニヤー) | 教えの根本的な意味(意義)と、それが目指す目的(趣旨・実践的価値)。 |
悪を為さない(アクサラ・カルマの否定) | 他者に害を与える、または道理に反する行動を慎むこと。 |
🌐 全体の現代語訳(まとめ)
年を取っても節度を保つことは、それ自体が尊い喜びであり、
確かな信仰を持っていることは、人生の土台として心を支える。
教えの本質と意味を理解し、そこに喜びを見出すことは知的な満足を与え、
さらに、悪い行いを避けて正しく生きることが、
人としての最も静かで深い幸福をもたらすのだ。
💡 解釈と現代的意義
この章句は、「何を喜びとするか」という人生の軸の選び方を教えてくれます。
消費・競争・自己主張に基づく楽しみではなく、
節度・信念・理解・倫理という内面的な豊かさを重視する生き方が、
本当の意味で「安楽な人生」をもたらすのだという、普遍的な価値観を示しています。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈・適用例 |
---|---|
キャリアと人格の一致 | 年齢を重ねても信念を持って正しく働く人は、周囲に安心と尊敬を与える存在になる。 |
理念経営 | 組織のビジョンや理念の意義と目的を理解し、それを楽しむことが、仕事の質と意味を高める。 |
倫理的判断 | 不正・虚偽・搾取を避け、「やらないこと」を選び続けることが、ブランドと信頼を築く。 |
自己成長 | 自律・学習・善行に喜びを見出せる人は、周囲に左右されずに安定して成長を続けられる。 |
✅ 心得まとめ
「老いてなお節度を持ち、信を抱き、教えを味わい、悪を避ける――それが本当の安らぎである。」
人生の「楽しみ」を、外に求めるのではなく、
内なる節度・信仰・理解・善き行為に見出す人は、年齢を問わず、どこにいても心豊かに生きることができる。
それは静かで、強く、誰にも奪われない「最上の安楽」なのです。
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