少なくとも、心をこめて与える人は、永遠に豊かである

2025年6月26日

🔖 原文（日本語訳）

「善い人々は、たとい少なくても、正しくわかち与えるならば、多くの人々に勝つ。
ただ物をくれてやることが勝つのではない。
たといわずかなものであっても、信仰心をもって与えるならば、
この人は来世において安楽となる。」
――『ダンマパダ』第1章「双句品」第8偈

用語	意味
善い人々	心正しく、思いやりと倫理観を持った人。
正しくわかち与える	相手への配慮・タイミング・動機・態度を整え、自己利益を目的としない施し。
くれてやる	上から目線・形式的・見返りを求めた施し。
信仰心（サッダー）	清らかな心、信頼、誠実、敬意を含む内的な動機。
来世の安楽	仏教における輪廻思想に基づく報い、もしくは死後の精神的平穏。現世の「心の豊かさ」にも通じる。

誠実で善良な人は、たとえわずかしか持っていなくても、正しい心で人に分け与えることによって、大いに他人からの尊敬と真の評価を得る。ただ物を与えるだけではなく、**「どのような心で与えるか」**が重要なのである。信仰心をもって施す行為は、来世においても大きな安らぎをもたらす。

この章句は、量よりも質、与える「もの」よりも「こころ」が大切であることを私たちに教えてくれます。
自己満足や名誉のために与えるのではなく、相手のために、誠意をこめて分かち合うという行動こそが、人生の本当の「豊かさ」を築くものです。

観点	解釈・適用例
CSR・社会貢献	寄付や支援は額の大きさよりも、その誠意と対象への理解が重視され、共感と信頼を育む。
社内文化	物や成果を与えるだけでなく、心から部下や同僚に関わることが、組織の温度を上げる。
顧客対応	無償の提供や謝罪の品よりも、心からの言葉や態度の方が、顧客満足や関係性向上につながる。
リーダーシップ	部下に「与える」とき、その態度と心のあり方が、リーダーとしての本質を問われる。

「わずかなものでも、誠心誠意与える者は、真に尊い。」
施しとは、物の大小ではなく、心の深さを問う行為です。
誠意と信念をもって誰かのために分かち合う――その習慣こそが、
現世でも来世でも「安らぎに満ちた富者」として私たちを育ててくれるのです。

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