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なすべきことがなくとも、私は行為する――模範のために


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📜 引用原文(日本語訳)

「アルジュナよ、私にとって、三界においてなすべきことは何もない。
得るべきもので未だ得ていないものも何もない。
しかも私は行為に従事しているのだ。」
(『バガヴァッド・ギーター』第3章 第22節)


🔍 逐語訳

「アルジュナよ、私(クリシュナ)には、三界(天界・地上界・冥界)において果たすべき義務は何もない。
私はすでにすべてを手にしており、得るべきものも存在しない。
それにもかかわらず、私は絶えず行為(カルマ)を実践している。」


🧩 用語解説

  • 三界(トリ・ローカ):宇宙を構成する三つの領域。天界(スヴァルガ)、地上界(プリトヴィー)、地下界(パータール)。
  • なすべきことがない(ナ・カールタヴィャム):義務や達成目標が一切ない状態。完全性の象徴。
  • 未だ得ていないものもない(アナヴァープタヴィャム):欲するものがすでにすべて満たされている状態。欲望の完全な満足と超越。
  • 行為に従事する(ヴァルティ・エヴァ):あえて行為を行う。義務ではなく、自発的に動く姿勢。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

ここでクリシュナ(神)は、自らを例に出して語ります。
「私はすべてを持ち、何も必要としていない。されど行為をし続ける」――
これは、模範のため、世界の秩序のために自ら進んで行動する精神の表明です。
他者に「行為せよ」と説く者自身が、最も自由でいながらもその教えを自ら生きている。
このようにして、説得力あるリーダーシップと責任ある実践の姿が示されます。


💡 解釈と現代的意義

この節は、「本当に自由な人ほど、行為をやめない」という逆説的な真理を説いています。
クリシュナは、何も欲せず、何も義務を持たない究極の存在であるにもかかわらず、
他者のために、世界のために、あえて行動し続ける――この姿勢は、
現代においても、真のリーダー・教師・親・指導者の理想像となります。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
模範としての行動自分には直接の利害がなくても、部下や後進のために率先して行動することが、信頼と学びを生む。
利己を超えた行動十分な地位や報酬を得ている人でも、組織や社会への貢献のために動き続けることが、本物の価値と尊敬を生む。
リーダーの一貫性説くだけでなく、実際に行動で体現することで、理念が生きたものとなり、文化や信念として根付く。
社会的模範成功者・有名人・経営者が、欲のない立場でなおも行為を続けることが、次世代に対して倫理と精神性の道を開く。

🧠 心得まとめ

「真に自由な者だけが、真に他者のために動くことができる」

この節は、「動く理由がなくても動く者」の強さと慈悲を語ります。
それは義務でも欲望でもなく、内なる完成と利他の精神から生まれる行為です。
あなたがリーダーであるなら、親であるなら、誰かに影響を与える存在であるなら――
「自らの姿で語ること」こそが、最も力あるメッセージなのです。

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