■ 引用原文(日本語訳)
この世では自己こそ自分の主である。
他人がどうして(自分の)主であろうか?
賢者は、自分の身をよくととのえて、(自分の)目的を達成する。
――『ダンマパダ』第12節(一二)
■ 逐語訳と用語解説
- 自己こそ自分の主:自己の運命・行動・選択の責任を担うのは他ならぬ自分であるという主権意識。
- 他人が主であろうか?:他人の期待・権威・圧力に自己の人生を委ねるべきではないという戒め。
- 賢者(パンディタ):自己を観察し、継続して身を律し、内外を整えている者。
- 身をよくととのえる:心身・言動・習慣を正すことにより、自己の基盤を固める行為。
- 目的を達成する(ニッティター):高い志・人生の意味・精神的完成・社会的使命など、自分本来の目的を成就すること。
■ 全体の現代語訳(まとめ)
「この世界において、自分を導くのは自分である。他人が自分の人生を統べることなどできようか?
賢者は、自らを整えることによって、自らの真の目的を果たすに至る。」
本章句は、「自己統治こそ、自己成就の鍵である」という、極めて力強い自己確立の哲学を語っています。
■ 解釈と現代的意義
この句は、現代社会における「選択と責任」の原点を明示しています。
人生において私たちは、つい「他人の価値観」「社会的成功モデル」「外部の声」に引っ張られがちです。
しかし、仏教は一貫してこう語ります。
「他人があなたの目的を生きてくれることはない。あなた自身が整い、あなたの目的を生きなさい」
この章句は、自己管理 × 志の貫徹という、最強の人生実践を勧めてくれているのです。
■ ビジネスにおける解釈と適用
領域 | 適用例 |
---|---|
ミッション主導経営 | 他社や市場の真似ではなく、自社の存在意義・ビジョンに従って戦略を貫く。 |
キャリア形成 | 周囲の期待や一時の流行に流されず、自分の人生目的に基づいた選択をする。 |
リーダーシップ | 組織の方針や空気に迎合せず、自ら整えた原則で判断と実行を繰り返す。 |
習慣形成・時間管理 | 日々の自己統御と習慣化が、目的達成に向けた最大の推進力となる。 |
■ 感興のことば(心得まとめ)
「主として生きよ。そして、志を遂げよ」
あなたの人生は、あなた以外の誰のものでもない。
他人の目や声に惑わされず、自分を整え、
自分の使命を成し遂げる者こそが、
真の勝者である。
この句は、「自己実現」や「天命追求」の根源的な動機づけを与えてくれます。
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