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闇の世を超え、真理へと翔ける者たれ


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■引用原文(『ダンマパダ』第十三章 第174偈)

この世の中は暗黒である。ここではっきりと(ことわりを)見分ける人は少ない。網から脱れた鳥のように、天に至る人は少ない。
― 『ダンマパダ』第174偈(中村元訳)


■逐語訳(逐文的な意味の解釈)

  • この世の中は暗黒である:この世界は、無知や欲望、誤った見解に満ちており、真理が見えにくい。
  • ここではっきりと(ことわりを)見分ける人は少ない:この混乱した世の中で、正しい道理(ダルマ)を明確に識別できる者はごくわずかである。
  • 網から脱れた鳥のように:執着や迷いという「網」から自由になった存在。
  • 天に至る人は少ない:そのような束縛から解放され、精神的な高みに到達する者はごく稀である。

■用語解説

  • 暗黒(タマ):無知(アヴィッジャー)や煩悩によって覆われた精神状態。迷いや苦しみの象徴。
  • ことわり(ダルマ):宇宙と心を貫く真理・法則・倫理。正見に基づく生き方の指針。
  • 網(ジャーラ):執着・欲望・世俗の価値観・迷いなど、人間を束縛するものの比喩。
  • 天に至る:精神的覚醒、解脱、涅槃に至ること。

■全体の現代語訳(まとめ)

「この世の中は、無知と欲望の闇に包まれている。そこでは、真理を正しく見極める者はごく少ない。
そのような人は、まるで網から抜け出た鳥のように、束縛から自由になり、精神の高みへと到達する。だが、そのような存在は極めて稀である。」
――この偈は、真理の希少性と、そこに至る努力の尊さを静かに語る警句です。


■解釈と現代的意義

この偈は、仏教における「現世は迷いに満ちている」という洞察と、「真理を見極めて生きる難しさと価値」を明示しています。
現代社会においても、情報過多・フェイク・欲望の煽動が溢れ、本質を見抜くことはますます難しくなっています。

そのような中で、自らの内に静かに問いを立て、「何が真に正しいのか」を探し続ける者だけが、束縛から自由となり、真に充実した生を送ることができる――
それがこの偈の核心です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
情報の見極め力SNSや流行の表層に流されず、本質的価値を見抜く洞察力がビジネス判断の核心となる。
倫理的リーダーシップ利益や世評に惑わされず、原理原則に則った判断ができるリーダーは稀だが、組織を真に導く存在となる。
自己の確立他人の期待や常識という「網」から自らを解き放ち、自分自身の価値観と信念で道を選ぶことが、本物のプロフェッショナリズムを生む。
精神的成長成果・称賛ではなく、「真理に従って生きること」そのものが、心の平安と充実をもたらす。

■心得まとめ

「迷いの世を超えて、真理の空を翔べ」

この偈は言います。
世界は暗く、真理は見えにくい。だが、その中でも見抜き、飛び立つ者がいる。
他者の価値観に縛られず、外見や風評に惑わされず、自らの眼で「ことわり」を見極めよ。
そうすれば、あなたもまた「天に至る鳥」となれるのです。


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