■ 引用(出典)
第一八章 花 一*
だれがこの大地を征服するであろうか?
まただれが神々とともなる閻魔の世界を征服するであろうか?
わざに巧みな人が花を摘むように、善く説かれた真理のことばを摘み集めるのはだれであろうか?
(『ダンマパダ』第18章 第1偈)
■ 逐語訳
- 「だれがこの地上世界(大地)を制することができようか?」
- 「また、だれが天界および死者の世界(閻魔界)においてもそれを征服しうるのか?」
- 「花を摘むように、真理の言葉を的確に選び取ることができるのは、どのような人か?」
■ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
大地の征服 | 欲望や執着の世界(現世)を超克すること。精神的な克己・覚醒を表す。 |
神々と閻魔の世界 | 輪廻のあらゆる生存領域。現世を超えた霊的な存在領域。 |
真理のことば(ダンマ) | 仏陀が説いた教え、法、または普遍的真理そのもの。 |
花を摘む | 慎重に選び取り、収集することの比喩。知恵や真理を実践的に活かす態度。 |
■ 全体現代語訳(まとめ)
この世を制することができるのは誰か?天界や死後の世界すら超えて悟りを得る者とは誰か?仏陀は問いかける。日々の中で真理の言葉を見分け、選び取り、自らの智慧として咲かせる者――それこそが、現世も霊的領域も超えて生きる力を持つ者である。
■ 解釈と現代的意義
この句は「悟りの本質は、正しく選び、実践する力にある」と説いています。情報や言葉があふれる時代において、真に価値ある言葉や行動を選び取る力は、まさに現代の知恵と呼ぶべきものです。それは多くを知ることではなく、「何を選ぶか、どう活かすか」の審美眼であり、人生を変える力です。
■ ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用の仕方 |
---|---|
情報過多の時代の選択力 | SNSや業界ニュースなど、膨大な情報の中から本質を選び、実行に移せる人こそが真に成果を上げる。 |
リーダーシップの資質 | 部下の声、顧客の声、過去の経験から「何を拾うか」によって組織の未来が変わる。花のように丁寧に拾う眼を持つ。 |
自己成長と学び | 本を多く読むよりも、「今の自分に必要な言葉を拾い、行動に移す」ことこそが、真の学びとなる。 |
■ ビジネス心得タイトル
「真理の花を選び、摘み取る者であれ」
自分の前に咲く無数の言葉、知識、意見――その中で、何を選び取るかが未来を決める。花を摘むように丁寧に、真理を選び取り、それを生かして咲かせる生き方こそが、ビジネスにおける成熟と勝利をもたらすのです。
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