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すべての行為は五つの要因の共演である


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■引用原文(日本語訳)

「すなわち、〔身体的〕拠り所、行為の主体、各種の〔行為の〕器官、各種の活動、そして第五に運命である。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第14節)


■逐語訳

行為が完成するには、以下の五つの要因が必要である――
①〔身体的〕拠り所(アーディシュターナ)
②行為の主体(カルター)
③種々の器官(カラナーニ)
④多様な活動(チェーシュター)
⑤第五に、神・運命・見えざる意思(ダイヴァム)


■用語解説

  • 身体的拠り所(アーディシュターナ):肉体そのもの。行為を遂行する土台・環境。
  • 行為の主体(カルター):行為を「実行している」と認識する個人。自我。
  • 器官(カラナーニ):行為を実行する感覚器官・行動器官(手・足・目・声など)。
  • 活動(チェーシュター):実際に生じる動作・運動・努力。心身の運用そのもの。
  • 運命/神意(ダイヴァム):個人の意志や努力を超えた力。偶然、天命、神のはからい。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、行為を構成する「五つの要因」を明示することで、「すべての行為は複合的であり、一人の力で完結するものではない」という視座を与える。
身体という基盤、自我という行為者、行動のための器官、具体的な動き、そして不可視の神的要因。これらがそろって初めて、行為は実現する。


■解釈と現代的意義

この節は、「自分がやった」という自己中心的思考から離れるための視点を提供しています。
私たちの行動は、環境・身体・道具・努力・偶然(運命)という、多因子的な構造のもとに成り立っています。
この視点を持つことは、謙虚さ・感謝・全体視野を育て、真にバランスの取れた生き方につながります。


■ビジネスにおける解釈と適用

要素ビジネスでの例
拠り所(身体)職場・制度・使用ツール・IT環境など、行為を支える基盤。
主体(人)実行する個人。リーダー・担当者。
器官(道具)PC、手、会話、資料、スキルなど、実行手段。
活動実際の動作・実務・交渉・報告など。
運命(外的要因)市場変動、顧客都合、タイミング、天候、事故など不可抗力。

このように、成果には常に多要因が関与する。ゆえに成果や失敗を「一人の責任」「一人の功績」とするのは不完全である。


■心得まとめ

「行為とは、我一人のものではない」
肉体・行為者・道具・努力・天命――これらがそろって初めて、行為は成り立つ。
だからこそ、謙虚であれ。感謝を忘れるな。全体を見て、調和と連携の中で最善を尽くすことが、真の力である。


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