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怨みは、心に火を灯す薪である


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第一章 第三偈)

「かれは、われを罵った。かれは、われを害した。
かれは、われにうち勝った。かれは、われから強奪した。」
という思いをいだく人には、怨みはついに息むことがない。
――『ダンマパダ』 第一章 第三偈


🔍 逐語訳

  • 「あの人は私をののしった」
  • 「あの人は私に害をなした」
  • 「あの人は私に勝った」
  • 「あの人は私から奪った」
    このように考える者は、
  • 怨みの念を抱き続け、
  • 決してそれが消えることはない。

📘 用語解説

用語解説
怨み(うらみ)他者の行為に対して生じる憎しみや執着の感情。怒りの一種で、自己中心的な欲望から発生する。
害する精神的・身体的・社会的に損なう行為。ここでは自分が被害者であるという認識を指す。
強奪する不当に奪われたと感じる経験。物質的損失に限らず、評価や人間関係の喪失などにも通じる。
息む(やむ)終息する、止むという意味。怨みの連鎖が絶えることを指す。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

「誰かに悪口を言われた」「傷つけられた」「勝ち負けで劣った」「何かを奪われた」――こうした被害意識にしがみついている限り、人の心に宿る怨みは消えることがない。怨みは、記憶の中で繰り返し自らを傷つけ、心を不安定にさせ、苦しみを増幅させる。その根底には「自分が正しい」「自分が被害者だ」という執着がある。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、人がなぜ「怒りや恨み」を手放せないのか、その心理構造を明らかにします。相手を責めることで自己を守ろうとするのは一見合理的に思えるが、実際には自分自身を長く苦しめる結果となる。現代社会においても、SNSや職場でのトラブル、競争社会の中で生じる心のしこりは、こうした「被害者意識」の反復によって強化される。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
対人関係の改善「あの人は私を批判した」「私の案を却下した」といった感情に執着すれば、チーム内の信頼は築けない。
リーダーシップ指導者は過去の対立や非難を引きずらず、未来志向で相手と向き合う寛容さが求められる。
クレーム対応顧客との過去のやり取りを「正義vs悪」と捉えると関係修復が困難になる。感情を切り離した対応が鍵。
自己成長怨みや敗北感に囚われていては、次の挑戦への活力を失う。失敗を恨まず、学びとして昇華する力が必要。

🪷 心得まとめ

「恨みは、誰かを傷つける前に、自分を焼き尽くす」
怨みを持ち続ける限り、心の安らぎは訪れない。
他人の過去の行為に囚われず、今この瞬間の自由を選び取ることこそが、悟りへの第一歩である。

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