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欲望の火に飛び込む蛾のように――自ら滅びへ向かう者たち


目次

■原文(第11章 第29節)

蛾が大急ぎで燃火に入って身を滅ぼすように、
諸世界は大急ぎであなたの口に入って滅亡する。


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • 蛾(の群れ)は急いで燃える炎に飛び込み、自らを滅ぼすように、
    (yathā pradīptaṁ jvalanaṁ pataṅgā viśanti nāśāya samṛddhavegāḥ)
  • そのように、諸世界の存在たちは、あなたの口に急いで入り、滅亡する。
    (tathāiva nāśāya viśanti lokās tavāpi vaktrāṇi samṛddhavegāḥ)

■用語解説

用語解説
蛾(pataṅgāḥ)欲望や無知の象徴。自ら死を招く存在の比喩。
燃える炎(jvalanaṁ)神の破壊力。あるいは欲望・無常・死の象徴。
滅亡(nāśa)消滅・破壊・終末。現象界の一切が最終的に向かう地点。
急ぎ(samṛddha-vegāḥ)激しい勢いで、止まることなく突き進む様。
諸世界の存在(lokāḥ)あらゆる存在(人類・神々・宇宙の秩序)を象徴する。

■全体の現代語訳(まとめ)

蛾が燃え上がる炎に飛び込み、
自らの命を滅ぼすように、
この世界の存在たちは、
あなたの口へと急ぎ入り、滅んでいく。


■解釈と現代的意義

この節は、**「破滅へ向かう衝動」**という人間の根本的性(さが)を、蛾の火への飛び込みにたとえて描いています。

  • 知っていても止まらない衝動
  • 破滅を選んでしまう集団心理
  • 欲望が導く自己崩壊

という 心理的・社会的な「滅びの美学」や危機」 への警鐘としても読めます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
組織の衝動的判断短期的な利益追求でリスク管理を怠り、破滅的な決断をしてしまう。
マーケットの狂騒バブル経済や過熱したブームに群がる心理。周囲に引きずられ、自滅する企業。
欲望のマネジメント欲に駆られた過剰投資・拡大路線が、収拾不能の損失を招く場合。
個人の選択無理な挑戦・過労・自己顕示欲が、自分自身を「焼く火」になることがある。

■心得まとめ

「滅びを望むものは、火に舞う蛾となる」

火に魅せられた蛾のように、
人は、自ら破滅の道へと進む。
警告の声も聞かず、
危険の光に飛び込む者もいる。

真の知恵とは、
その火が「熱い」と知るだけでなく、近づかぬ決断を持つこと。
欲望と衝動に抗い、立ち止まる力を養え。

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