目次
📜引用原文(日本語訳)
第八十二偈(第三二章 結び)
修行僧はこのように楽しむことと楽しまないこととに堪え、
情欲の煩悩の潜勢力を取り出して除きつつ。
—『ダンマパダ』第三二章「修行僧」より(第八十二偈)
🔍逐語訳と用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
楽しむこと(スカ)と楽しまないこと(ドゥッカ) | 快楽と苦痛の両極を意味し、五感や心で感じる「快不快」の対象。 |
堪え(ティティッカ) | 忍耐、受容、動じない力。 |
煩悩の潜勢力(アヌシャヤ) | 一見静まっているようでも、心の奥底に残る欲望・怒り・無知などの根本煩悩。 |
取り出して除く | 煩悩の根を深く掘り起こし、断ち切ること。単なる抑圧ではなく、智慧による根絶。 |
🪞全体の現代語訳(まとめ)
修行僧は、喜ばしいことも、喜ばしくないことも、
等しく耐え、揺らぐことなく受け容れる。
そして、心の奥深くに潜む情欲の根を見つけ出し、
それを抜き取って、完全に断つ。
そうしてこそ、真の解放に至るのである。
🧠解釈と現代的意義
この偈は「修行」の終局的態度を象徴しています。
人はしばしば「快」に執着し、「不快」を避けようとしますが、
この二元の間で揺れ動いている限り、心の自由は得られません。
真の修行者は、「快・不快」という一時的な感覚の波を超え、
奥に潜む根本的な執着や煩悩を見抜き、それを手放すことで、
静けさと自由を獲得します。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と応用 |
---|---|
感情に左右されない安定性 | 成果が出たときも出なかったときも、浮かれず・腐らず。長期的な信頼を得る力に。 |
反応ではなく対応 | 快・不快への即応ではなく、一度立ち止まって「なぜ反応しているか」を見つめる力。 |
根本原因の見極め | 表面的な問題処理ではなく、組織や自分の中に潜む「課題の根源」への探究。 |
自制と成長 | 衝動や欲求に飲まれず、継続的な自己成長と価値創出に集中できる姿勢。 |
✅心得まとめ
「揺れを制する者が、真の強さを手にする」
快を求め、苦を避ける生き方からは、いつまでも逃れられない不安が生まれる。
真に自由な人は、感情の波に沈まず、内面の深層に潜む執着を静かに見つめ、断ち切る。
ビジネスにおいても同様。
その場の喜怒哀楽に囚われず、背後にある本質を見通す者が、
やがて組織や社会に深い影響をもたらす存在となる。
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