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闇を見抜く眼をもて、そして空へ翔べ


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📖引用原文(日本語訳)

この世の中は暗黒である。
ここではっきりと(ことわりを)見分ける人は稀である。
網から脱れた鳥のように、天に至って楽しむ人は少ない。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第五節


🧩逐語訳

  • この世の中は暗黒である:無知・迷妄・欲望に満ち、真理が見えにくい世間。
  • はっきりと見分ける人:正邪や真偽、善悪を明確に識別する智慧ある人。
  • 網から脱れた鳥:煩悩・執着・迷いといった束縛を脱した自由な存在。
  • 天に至って楽しむ人:解脱・悟りを得て、精神的な至福に到達する人。
  • 稀である・少ない:そのような人は非常にまれであるという真実の認識。

🧠用語解説

  • 暗黒(andhakāra):仏教では「無明(avidyā)」とも呼ばれる。真理を知らず、妄念や煩悩に支配された状態。
  • 見分ける(vibhajati):識別する、正しく見抜く能力。
  • 網(jāla):執着・欲望・煩悩・世俗的しがらみの比喩。
  • 天に至る(saggaṁ gacchati):仏教的には高次の境地・天界・あるいは解脱に近い状態。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

この世は真理の見えにくい暗黒のような場所である。多くの人々は混乱し、真実を見極める力を持たない。
そんな中で、煩悩の網を振りほどき、自由に飛び立つ者――精神の高みに達し、心からの歓喜を得る者は、実に稀なのである。


🌱解釈と現代的意義

この節は、現代社会にもそのまま当てはまります。情報が氾濫し、誰もが正義を語る時代にあっても、「本当に見るべきもの」を見抜ける人は少数です。
欲望や評判、損得や世論に絡め取られず、真理に目を向けられる人間は、静かにそして確かに高みに達します。
この句は「少数派であること」を恐れず、真理に従って生きる者の希少性と尊さを讃えるものでもあります。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
情報の取捨選択表面的な数字やトレンドに惑わされず、本質を見抜く力を持つ人材は、経営判断において極めて貴重。
独自性と勇気周囲と違う選択をする際に孤独を感じても、真理に基づいた選択ならば貫くべき価値がある。
煩悩からの自由昇進・評価・利益といった誘惑に執着せず、志と理念をもって仕事をする人が、結果的に信頼を勝ち取る。
倫理的判断と強さ「みんながやっている」ではなく、「それは正しいか」で判断を下す人が、組織の良心となる。

📝心得まとめ

「見えぬ世の中にこそ、見抜く目が試される。網を脱けて空へ翔ぶ者は、少なくとも確かにいる。」

真実は多くの声の中に埋もれている。
しかし、声にまどわされず、静かに見極め、己の眼で真理を見出す者だけが、煩悩の網を破り自由へと至る。
そのような人間であろうとすること――それがこの世の闇を生きる、私たちの灯火なのです。


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