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存在は滅びない──過去・現在・未来を超えて


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第12節
クリシュナは言った。
「私は決して存在しなかったことはない。あなたも、ここにいる王たちも。また我々はすべて、これから先、存在しなくなることもない。」


■逐語訳

  • 私は決して存在しなかったことはない(ナ・トゥ・エヴァハム・ジャートゥ・ナースン):私は常に存在していた。
  • あなたも(ナ・トヴァム):あなたアルジュナも同様に、過去から存在していた。
  • ここにいる王たちも(ナ・イメ・ジャナーダィパーハ):戦場にいる他の王たちも同じく、存在してきた。
  • これから先、存在しなくなることもない(ナ・チャ・エヴ・ナ・バヴィシャーマハ):未来においても、我々は消え去ることはない。

■用語解説

  • 存在(サット):ここでは「魂(アートマン)」としての永遠の存在を意味する。
  • ナースン/ナ・バヴィシャーマハ:「なかったことはない」「なくなることもない」=過去・未来にわたる永遠性。
  • 我々(ヴヤム):個としての人格や役割を超えた、根本的な存在(魂)を指している。
  • 王たち(ジャナーダィパーハ):戦場にいる他の登場人物たちも含めた普遍的真理の対象。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは語る。「私はかつて存在しなかったことはないし、あなたも他の王たちも同じだ。私たちはすでに存在しており、そして今後もずっと存在し続けるのだ」と。
ここでは、肉体とは異なる“真の自己(アートマン)”の永遠性が明確に説かれている。


■解釈と現代的意義

この節は、『バガヴァッド・ギーター』全体を通じての根本思想――魂(アートマン)は生まれもせず、死にもしないという教えの第一歩です。
クリシュナはアルジュナの「死への恐れ」や「人間関係の執着」を打ち破るために、「あなた自身も、彼らも、実は本質的に永遠なのだ」と語ります。

現代でも、「自分が消えること」「他者が去っていくこと」への不安は根深いですが、ギーターはそこに対して「永遠の視点から物事を見る智慧」を授けています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
存在の再定義肩書や地位に依存するのではなく、「自分とは何か」という本質に立ち戻って行動する力を養う。
不安との向き合い方終わりや変化を恐れるのではなく、「何が普遍で何が一時的か」を見分けることで精神的安定を得る。
ミッションの継続性短期成果や離職といった現象に揺らがず、長期的・普遍的な価値観に基づくミッションにフォーカスする。
変化の中の不動心組織や市場が変わっても、核となる価値や信念に立脚すれば、ぶれない判断ができる。

■心得まとめ

「本当の自分は、変わらず・失われず・死なない」
私たちは日々、「失うこと」や「終わること」に怯えがちです。
しかし、ギーターは語ります――「真の自己は、過去にも存在し、今も存在し、未来にも存在し続ける」と。
その視点を持つとき、目の前の不安や変化に振り回されることなく、安定と信念に基づいた生き方が可能となるのです。

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