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高収益高賃金経営の目標②幹部の業績評価はこうして

幹部の業績評価方法には、具体的な指針が必要です。

上級幹部の評価には売上高や付加価値などの絶対的な数値が適していますが、中下級幹部の場合、部門や製品の特性に合わせて、傾向評価が妥当です。

特に、付加価値を中心に評価することが提案されており、これは企業の経済的価値を反映するものです。

また、間接部門の評価は難しいものの、その活動の意義と費用を考慮して評価できます。

経営者の悩みにも対処するため、生産性の算式を活用して、目標と結びつく評価基準を設定することが重要です。評価は透明性を持ち、前向きな指導を促進します。

最終的には、点数制を導入し、目標と評価基準を公開することで、組織全体が目標達成に向かう方向に進むでしょう。業績主義を徹底する必要があり、経営者の意向に沿った評価方法が求められています。

目次

幹部の業績評価はこうして

上級幹部の業績は、企業の業績と直接またはかなり密接に関連づけて評価することができる。事業部長などは、ズバリ事業部利益それだけでよい。

営業部長ならば、売上高とか伸び率、付加価値額などで測定できる。製造部長ならば、生産高やコストなど、相当明確な絶対数字によって評価することができる。

もう一つは、それらの成果と、その成果をあげるために費された費用との比率でみればよい。つまり、生産性の考え方である。

算式にすれば、部長の業績=部のあげた成果(売上げ、生産、付加価値など)÷(部の人件費+経費)となる。

気をつけなければならないのは、人件費と経費は、あくまでもその部門の固有のものだけであって、共通的なものは算入してはならない。

これを入れると、真実の姿がわからなくなる。中下級幹部の業績評価は、下部になるほど、上級幹部と同様のモノサシによる評価がむずかしくなる。

そこをなんとか工夫して、しかもあまり費用と労力をかけずに評価することを考える必要がある。それには、「付加価値」を中心とした評価をするのが最も妥当なものに近い、というのが筆者の主張である。

付加価値こそ、企業が生み出した経済的価値であり、これが生産性の基礎概念であるかぎり、これを中心とするのが本当である。

計算式にすると、部門生産性(部門の長の業績)=部門のあげた付加価値÷(部門人件費+部門経費)という式になる。

蛇足ではあるが、部門経費というのは、固有経費のみであって、共通経費を入れてはいけない、ということを忘れないでもらいたい。

ただし、この答えをそのまま評価してはいけないのだ。傾向で評価しなければならない。

まず「生産性」でみるのは、人員の増減、昇給などの変動を消すのには比率でみなければならないし、「傾向」でみるのは、部門間の不公平をならすためである。

部門のあげる付加価値の絶対額は、製品のもっている収益性によって基本的にきまってしまう。これは部門の長の意志や努力ではどうにもならない要素である。

それを絶対額で評価したら、もともと収益性の悪い製品を割当てられている部門は不利になるからである。傾向で評価すれば、そのような不公平による間違いを防ぐことができるからである。

もう一つ、傾向評価のよい点は、生産工程が横割りになっている場合に、部門付加価値の算定を、工数割りを基準にし、部門装備の違いなどを勘案して行う場合に、その計算法の妥当性について、あまり論議をする必要がない。

妥当性が多少欠けても、これを傾向評価するときには、それらの誤りは完全に消えてしまうからである。

傾向でみる場合には、絶対値はいくつでもさしつかえないのだ。ただ、注意しなければならないのは、減価償却費である。

会計処理がどうあろうと、業績評価の場合には「定額法」にする必要がある。

「定率法」でやると、部門努力と無関係な減価償却費が年々減少するために、その分だけ生産性が上がったように計算されてしまうことになるからである。

部門生産性の測定で困るのは、間接部門の生産性である。

間接部門の生産性は、文字どおりその仕事が間接的であるだけに、その効果や業績を、数字であらわすことは非常にむずかしい。

この業績測定の困難さが、関接部門の肥大化の大きな原因となっていることも事実である。企業が成長し、あるいは近代化をする過程で、新しい管理業務や制度が導入されてゆく。

それらはほとんど例外なしに、間接部門の仕事の増大をともない、間接部門の人員が増加してゆく。それらがどのように企業全体の業績に貢献しているかは、よくわからないというのが本音であろう。

わかるのは、その活動の質的な意義と、その活動によって発生する費用である。とすると、結局は企業にとってプラスなのかマイナスなのかわからない。

ここに経営者の悩みがあるのだ。この悩みも、生産性の算式をつかって、数字でとらえることができる。間接部門といえども、それは企業の経済的価値創造のためにあることは間違いない。

とすると、その目的を果たしているかどうかを測定するには、生産性の算式の教えるところにしたがって、間接部門がサービスしている部門または製品の付加価値を、その部門の費用で割ればよい。

算式は、間接部門の生産性(間接部門の長の業績)=サービス対象の部門または製品のあげた付加価値÷(部門人件費+経費)となる。

経費はむろん、固有経費である。

各級幹部の業績測定は、企業が経済的活動であるかぎり、最終的にはこれでよいわけである。

しかし、この生産性は量的なものであって、質的なものではなく、またもう少し内容を明らかにすることも大切であろう。

そこで、そのような内容を評価するには、どうしたらよいか。それは、企業としての指導方針と、直接結びつけることであろう。

具体的な例をあげてみれば、災害減少に関する目標であるかもしれず、クレームの減少かもしれない。計数管理能力の向上でもよいし、接客態度の向上でもよい。

それらの方針と、そこに期待される結果を企業の目標として設定し、それを評価する基準をきめる。のぞむべきは点数制にして、点数の多寡によってウエイトづけをし、企業の意図を明確にすることである。

これでこそ、点数制は科学的ではなくても、その意味をもってくるのだ。つまりトップの意志である。

当然のこととして、それらは目標発表時に同時に公表される。

評価はその項目と評価法を事前に発表してこそ意味があるのだ。そして、これこそ本当の意味での前向きの評価であり、正しい指導法である。業績主義も、ここまで徹底する必要があるのだ。

まとめ

このテキストでは、幹部の業績評価方法について詳細に説明されています。上級幹部の業績は、部門利益や売上高、生産性など、絶対的な数値で評価できます。特に、付加価値を中心に評価することが強調されています。また、経費は各部門の固有のものであるべきであり、共通経費を含めて評価してはいけないと述べています。

中下級幹部の業績評価は、上級幹部と同じ基準で評価することが難しく、付加価値などの評価を考える必要があります。傾向で評価し、絶対値ではなく相対的な傾向を重視することが提案されています。

間接部門の業績測定は難しいが、付加価値と費用の比率を通じて評価できると説明されています。また、各級幹部の業績測定において、量的な生産性だけでなく、質的な成果や企業の指導方針に関連する項目を評価に取り入れることが重要だと指摘されています。

最終的に、業績評価は点数制を使用し、目標と評価基準を事前に公表することで前向きな評価と指導を実現するべきだと結論づけられています。業績主義の徹底が強調され、経営の透明性と目標達成に向けた取り組みが支持されています。

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