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真理を知る者は、知らぬ者の限界を超える


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■引用原文(日本語訳)

「クリシュナよ、あなたが私に告げたことはすべて真実であると思う。実にバガヴァットよ、神々や悪魔もあなたの顕現を知らない。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第14節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • sarvam etad ṛtaṃ manye
     → あなたが語ったすべては、真実であると私は思います。
  • yan māṃ vadasi keśava
     → あなたが私に語ったことは、ケーシャヴァ(クリシュナ)よ。
  • na hi te bhagavan vyaktiṃ
     → バガヴァット(尊い存在)よ、あなたの顕現(本質)を
  • vidur devā na dānavāḥ
     → 神々も、悪魔たち(アスラ)も知りません。

■用語解説

  • ケーシャヴァ(Keśava):クリシュナの尊称。「髪を持つ者」あるいは「善と悪を滅ぼす者」の意も。
  • バガヴァット(Bhagavan):神聖なる存在。至高の主。全知・全能・全徳の具現者。
  • 顕現(vyaktiṃ):神の現れ、姿、真の本性・力の表れ。
  • 神々(devāḥ):インドラやアグニなど、自然力を司る善神。
  • 悪魔(dānavāḥ):アスラ。神に敵対する存在。知力や力を持つが、傲慢や執着によって迷いを生む者。

■全体の現代語訳(まとめ)

「クリシュナよ、あなたがこれまで私に語ってくださった教えはすべて真実だと、私は確信しています。そして、あなたの真なる本質は、たとえ神々や強大な悪魔でさえも、完全に知ることはできないのです。」


■解釈と現代的意義

この節は、アルジュナがクリシュナの語る教えに対して、全面的な信頼と受容を表明する場面です。
特に重要なのは、「神々や悪魔でさえもその本質を知ることができない」と述べている点で、真のリアリティは知識や力では到達できない“霊的理解”によってのみ近づけるという原理が示されています。

つまり、単なる能力や地位ではなく、誠実な信と真理への愛が、最高の理解に至る唯一の道であるというメッセージです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
確信と意思決定真に信頼できるビジョンやリーダーに出会ったとき、自分の直観と経験に基づく“信”で判断することが、深い行動力を生む。
理解と謙虚さどんなに知識や経験があっても、“本質”は完全にはつかめないことを認め、謙虚に学び続ける姿勢が重要。
本質の不可視性数値や外形だけで企業や人を判断するのではなく、「目に見えぬ価値(理念・人間性)」に信頼を置く判断力が問われる。
リーダーへの信頼部下が「この人の言うことは真実だ」と確信することで、理屈を超えて行動が伴うようになる。

■心得まとめ

「本質は、力で知るにあらず。信と共鳴が導くもの」

知識や力、地位をどれほど積み上げても、本質的な真理には到達できない。
それは、心を開き、信と共鳴のうちに受け取るべきものだから。
人を信じ、教えを信じ、誠実に耳を傾ける者こそが、最も深い理解に近づくことができる――それがこの節の真意です。

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