目次
■原文(日本語訳)
第2章 第24節
クリシュナは言った。
「彼(魂)は断たれず、焼かれず、濡らされず、乾かされない。彼は常住であり、遍在し、堅固であり、不動であり、永遠である。」
■逐語訳
- 断たれず(アッチェーデャハ):いかなる武器でも切断されない。
- 焼かれず(アダーヒヤハ):火によっても焼かれない。
- 濡らされず(アクレーデャハ):水にも濡れない。
- 乾かされない(アーショーシャハ):風にも乾かされることがない。
- 常住(ニティヤハ):永続し、常に存在し続ける。
- 遍在(サルヴガタハ):すべてに満ちている。空間や制限を超えて存在する。
- 堅固(スターヌフ):動じない、揺るがない構造を持つ。
- 不動(アチャラハ):移動することも変化することもない。
- 永遠(サナータナハ):時間を超越し、太古より変わらず続く存在。
■用語解説
- アートマン(魂):ここで言う「彼」は、身体ではなく、永遠不滅の自己=魂(真我)を指す。
- 四元素の影響:切る(地)、焼く(火)、濡らす(水)、乾かす(風)という自然の力すらも及ばない存在としての魂。
- サルヴガタ(遍在):空間に制限されず、すべてに満ちているという宇宙的特性。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナは語る。「魂は、何によっても断たれず、焼かれず、濡らされず、乾かされない。
それは常に存在し、至る所にあり、揺るがず、動かず、永遠に変わらぬ存在なのだ」と。
ここでは魂の絶対的不壊性・非物質性・普遍性があらゆる角度から強調されている。
■解釈と現代的意義
この節は、「魂の完全な安全性」をあらゆる比喩と哲学的語彙を用いて示すことで、私たちの存在の究極的な安心基盤を与えてくれます。
現代社会は「揺れる」「変わる」「壊れる」ことに満ちていますが、
ギーターは「変わらない本質があなたの中にすでにある」と語ります。
それを知ることによって、私たちは外部の混乱の中でも、自分の中心を見失わずに生きていけるのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と応用例 |
---|---|
動じない自己基盤の確立 | 組織内の評価やプロジェクトの浮き沈みに左右されず、内なる価値を信じることが安定的なパフォーマンスを支える。 |
本質的ブランドの継続性 | トレンドや市場が変わっても、「変わらない価値」を持ち続けるブランドは、信頼され続ける。 |
多様な状況でのリーダーシップ | どのような環境でも「自分が変わらない軸を持っている」と自覚することが、リーダーとしての器を大きくする。 |
長期ビジョンの育成 | 「今の状況に揺れず、永続する価値に目を向ける」という意識が、持続的な戦略と判断につながる。 |
■心得まとめ
「魂は、何ものにも損なわれず、変わらず、在り続ける」
変化や損失、評価の上下に心が揺れたときこそ思い出したい。
“本当のあなた”は、壊れない。変わらない。動じない。
この不動の認識を得た者は、何が起きても、自分を見失うことがない。
次の第25節では、この「魂の本質」がさらに深化し、「不可視・不可思議・変化なし」という形而上学的な特徴が語られます。
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