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執着を離れ、人生の本質を観よ


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「感官の対象に対する離欲。我執のないこと。生・老・病・死・苦の害悪を考察すること。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第8節)


■逐語訳

感覚的な対象に対する執着からの離脱、
「私」への固執を捨てること(無我)、
そして、生・老い・病・死・苦という人生に避けがたい現象がもたらす苦しみの本質を深く観察すること。


■用語解説

用語意味
離欲(ヴィヴェーカ・ヴァイラーギャ)快楽や感覚的な楽しみに心をとらわれないこと。
我執(アハンカーラ)「これは自分のもの」「私はこうあるべき」という自己への執着。
害悪の考察(ドゥッカ・ドーシャ・アヌダーシャナ)生・老・病・死という避けがたい苦を観察し、そこに執着しても永続する満足はないと理解すること。
感官の対象視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚を通じて得られる快楽や物質的刺激。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、真の智慧に至るためには、まず「感覚の快楽への執着」や「自己中心的なこだわり」を手放す必要があると説いている。
さらに、人間の避けられない現象――生まれ、老い、病み、死に、苦しむ――それらの現実を冷静に見つめることで、執着の無意味さを悟り、心の自由へと至る準備が整う。


■解釈と現代的意義

この節は、人生における「執着の連鎖」から自由になるための智慧を説いています。
楽しみを否定するのではなく、「一時的な快楽や所有への執着」が真の満足を妨げる原因であることを見極めるのが目的です。
また、生老病死という普遍的な現象を「避けるべき恐怖」ではなく、「考察すべき真理」として受け止める態度を学ぶことができます。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
欲望と節度地位・収入・名誉への過剰な執着は判断を鈍らせる。離欲の姿勢が冷静で誠実な意思決定を支える。
自己中心性の克服「私はこうあるべき」「認められたい」という我執を手放せば、客観性と共感が生まれ、人間関係もスムーズになる。
リスクマネジメント人生の避けがたいリスク(病気・老化・失敗)を前提にしておけば、感情的な混乱を避け、持続可能な選択ができる。
長期的視野一時的な快楽や短期的な利益に飛びつかず、根本的・長期的な価値を見極めて行動できるようになる。

■心得まとめ

「快楽にとらわれず、苦をも見つめる者が、自由の入口に立つ」

『バガヴァッド・ギーター』は、外界の快楽と「自我の幻想」に縛られることなく、人生の本質(生老病死)を受け入れ、そこに惑わされない眼差しを持つことが智慧への道であると教えています。
現代においても、短期的な刺激や成功にとらわれすぎず、人生をより深い視点から見つめることが、心の安定・強さ・本質的な成長につながります。

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