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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第50偈)
牡牛のごとく雄々しく、
気高く、
竜(ナーガ)、大仙人、勝利者、
欲望の無い人、沐浴者、覚った人(ブッダ)、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- 力強く雄々しい牡牛のように、
- 高潔で気高く、
- 知恵と威厳ある竜のように、
- 偉大な聖者(大仙人)であり、
- 煩悩に打ち勝った勝利者であり、
- 欲望から自由で、
- 内外を浄めた者(沐浴者)であり、
- 悟りに至った覚者――
その人こそが、真の〈バラモン〉である。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 意味・象徴 |
---|---|
牡牛 | 精神的にも肉体的にも力強く、堂々とした姿の象徴。 |
気高く(スニーパ) | 威厳を持ち、自己を律する高潔な精神。 |
竜(ナーガ) | 仏教における霊的存在。智慧と力の象徴。 |
大仙人(マハーリシ) | 超越的智慧を有する聖者。修行の極致に達した者。 |
勝利者(ジナ) | 欲・怒り・無明など、内的煩悩を制した勝利者=仏陀。 |
欲望の無い人 | 世俗的欲求に動かされない心の自由人。 |
沐浴者 | 身心を清める象徴。外的儀式に留まらず、内的清浄を持つ人。 |
覚った人(ブッダ) | 真理に目覚めた存在、苦の根源を滅した人。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
牡牛のように力強く、気高く、竜のように威厳を備え、
偉大なる聖者であり、
内なる煩悩に打ち勝った勝利者であり、
欲望に縛られず、心身を清めた覚者――
そのような人物を、仏陀は〈バラモン〉と称える。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「バラモン=悟りを得た者」という象徴が持つすべての徳を一つに結晶させたものです。
それは力に偏らず、清らかさに溺れず、知恵に奢らず、孤高にとどまらず、あらゆる次元で完成された「理想的人間像」です。
現代社会では、このような人物像をリーダー・師・導く者・本物の専門家に見出すことができます。
単なる肩書きや外見ではなく、力・品位・知恵・克己・自由・覚醒という中身を持つ人こそ、真に敬われる存在である――それがこの偈の核心です。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
全方位的な人間力 | 知恵と力、清廉さと実行力を併せ持つ人物は、どの場でも信頼される。 |
欲望への勝利=真のリーダー像 | 利益・評価・名声に囚われず、正義と誠実に基づいて判断できるリーダー。 |
人格と行動の一致 | 表面的な肩書きや役割ではなく、内面の清浄さと強さが問われる時代。 |
覚者としてのビジネスマン | 知恵と道徳、気高さと実行力を兼ね備えた「現代のバラモン」としての働き方。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「強く、気高く、静かに悟る人」
力を持ちながら、誇らず、
清らかでありながら、孤立せず、
欲に勝ち、怒りに打ち勝ち、
内なる智慧の光で世界を照らす。それが、〈バラモン〉――
真に目覚めた者の、静かな力である。
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