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📖 引用原文(日本語訳)
「聡明でない愚人どもは、自分に対して仇敵に対するようにふるまう。悪い行ないをして、苦い果実をむすぶ。」
🔍 逐語訳(意訳)
「知恵なき者たちは、自分自身に対して、まるで敵に向かうような仕打ちをしてしまう。
つまり、自らの行動によって、自らを傷つけ、苦しませる。
その結果として、悪行の種は苦い果実となって、やがて自分自身に返ってくる。」
🧘 用語解説
- 聡明でない(アパンニャー):
智慧のない状態。物事の因果を正しく見極める力を欠いた者。 - 仇敵(ヴェーリ):
害をなす敵、憎しみの対象。ここでは、自分自身に対して敵意ある行動をする比喩。 - 悪い行ない(アクーサラ):
精神・言葉・行動による不善。欲・怒り・無知によって導かれる非倫理的行為。 - 苦い果実(カットゥ・ファラ):
業(カルマ)の報い。悪行によって生じる苦痛・後悔・損失のたとえ。
🪷 全体の現代語訳(まとめ)
この節は、「悪行とは、他人を傷つけるようでいて、実は最も深く自分自身を傷つけている」という厳粛な真理を説いています。
愚者は、自らの無知によって、自分の人生を自らの手で壊していく。
まるで、自分自身に敵意を抱いているかのように――
その結果として、やがて得るものは「苦しみ」という形をとった報いである。
🏛 解釈と現代的意義
この句は、現代の私たちにも深い教訓を与えてくれます。
他者への怒り、欲望の追求、不正への誘惑……
こうした行動は一見「他人に向けられた攻撃」のように見えて、
最終的に傷つくのは、いつも自分自身である。
無自覚な言動が、自らの信頼・心の安定・人間関係・キャリアをむしばむ構造が、ここに明確に示されています。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実践的応用 |
---|---|
短絡的判断のリスク | 感情に任せた発言や対立姿勢は、組織内の信頼を壊し、結果として自分の居場所を失わせる。 |
不正・虚偽の代償 | 短期的な得のための不誠実な行動は、長期的に自らのキャリア・信用を損なう「自己破壊行為」となる。 |
リーダーの独善性 | 耳をふさぎ、他者の忠告を拒否すれば、組織は崩れ、最も失うのはリーダー自身の未来である。 |
自己認識の必要性 | 自らの行動が、自分を高めているか傷つけているかを見極める「内省力」が、すべての成長の出発点。 |
🧭 心得まとめ
「人は愚かである限り、自らに最も深い敵意を向ける」
敵は外にいるのではなく、
真理に背を向け、自らを知らぬまま行動する“自分自身”の中にいる。
だからこそ、行動する前に問うべきは――
「これは自分を守る行為か、それとも傷つける行為か?」
この一句は、自己破壊の愚かさから、自己修養の智慧へと導く言葉です。
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