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徳と智慧を備えた者には、悪も及ばぬ


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■引用原文(日本語訳)

第四章 花 第五十七偈

徳行を完成し、つとめはげんで生活し、
正しい知慧によって解脱した人々には、
悪魔も近づくによし無し。
― 『ダンマパダ』第4章 第57偈


■逐語訳(一文ずつ)

  1. 徳行を完成し、つとめはげんで生活し、
     → 徳ある行いを徹底し、日々の務めを誠実に果たして生きている人は、
  2. 正しい知慧によって解脱した人々には、
     → 真の智慧(パーリ語:paññā)により心を解き放ち、執着から自由になった人は、
  3. 悪魔も近づくによし無し。
     → 欲望・怒り・恐れ・迷妄の象徴である「悪魔(マーラ)」ですら、その人に近づくことはできない。

■用語解説

  • 徳行(ぐぎょう):倫理的で正しい行い。仏教では五戒・十善・布施・忍辱・精進などが含まれる。
  • つとめはげんで生活する:なすべきことを怠らず、真摯に日常を生きること。
  • 正しい知慧(パーリ語:paññā):因果の道理や無常・無我・苦の理解に基づいた洞察力。思索や知識にとどまらず、心の解放へとつながる。
  • 解脱:煩悩と輪廻の束縛から解き放たれた状態。
  • 悪魔(マーラ):煩悩・死・妨げを象徴する存在。仏教において、悟りに至る者を阻もうとする力の擬人化。

■全体の現代語訳(まとめ)

日々の務めを誠実に果たし、徳を積み重ね、智慧によって心の自由を得た者に対しては、欲望や迷いといった悪の力でさえ影響を及ぼすことができない。
その心は確固としており、外的要因に動じない。


■解釈と現代的意義

この偈は、**人格と智慧が完成された人の「内なる強さ」**を称えています。
私たちの多くは、欲望・恐れ・怒り・迷いといった“内なる悪魔”に揺れ動かされますが、徳と智慧の修行を通じてそれを超えることができるという力強いメッセージです。

現代社会においても、プレッシャーや誘惑が絶えませんが、内面を鍛えた人こそが、静かで安定した人生を歩むことができるという指針になります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
価値判断力の確かさ内的な価値観や倫理を明確に持つ人は、外部の誘惑や圧力に惑わされず、正しい判断ができる。
精神的レジリエンス不安定な環境でも動じない心を持つリーダーは、組織に安心と信頼をもたらす。
信頼と持続的成果毎日の業務を誠実にこなす人は、長期的に評価され、短期的な成果に左右されない真の信頼を築く。

■心得まとめ

「内に徳と智慧があれば、外の悪には揺らがない」

仏陀は言います――真に守るべきは、外の世界ではなく、自らの心である。
徳をもって行動し、智慧をもって自らを照らす者には、どんな誘惑や困難も、その心に触れることはできない。
それが、真に自由な人生を歩む者の姿なのです。

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