「期末商品棚卸高」とは、会計期間の終了時点における企業の在庫商品の価値を指します。この金額は、会計期間中の売上原価や利益を計算するために必要な重要な要素の一つであり、貸借対照表の資産として計上されます。本記事では、「期末商品棚卸高」の定義、計算方法、会計処理、注意点について詳しく解説します。
期末商品棚卸高とは?
期末商品棚卸高は、以下のような特徴を持つ項目です:
- 在庫の価値
会計期間末時点で企業が保有している商品の価値を示します。 - 売上原価の計算要素
売上原価を算出する際に「期首商品棚卸高」と「仕入高」とともに使用されます。 - 貸借対照表と損益計算書の両方に影響
期末商品棚卸高は、貸借対照表の「棚卸資産」として計上されるとともに、売上原価の計算に影響を与え、損益計算書にも反映されます。
売上原価の計算式
売上原価は以下の式で計算されます:
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 仕入高 - 期末商品棚卸高
例:
- 期首商品棚卸高:1,000,000円
- 仕入高:5,000,000円
- 期末商品棚卸高:1,500,000円
売上原価の計算:
売上原価 = 1,000,000円 + 5,000,000円 - 1,500,000円
= 4,500,000円
期末商品棚卸高の会計処理
- 決算時の計上
決算時には、期末商品棚卸高を「繰越商品」として資産計上します。 例:期末商品棚卸高が1,500,000円の場合
借方:繰越商品 1,500,000円
貸方:仕入 1,500,000円
- 翌期の期首に振り替え
期末商品棚卸高は翌期の期首商品棚卸高として振り替えられます。 例:1,500,000円を期首商品棚卸高として計上
借方:仕入 1,500,000円
貸方:繰越商品 1,500,000円
期末商品棚卸高の計算方法
期末商品棚卸高を計算する際には、以下の手順が一般的です:
- 在庫商品のカウント
会計期間末日時点での在庫数量を確認します。 - 評価基準を適用
在庫評価には「先入先出法」「総平均法」「個別法」などの方法があります。企業の会計方針に従って評価を行います。 - 単価を掛け合わせて計算
在庫数量と単価を掛け合わせて期末商品棚卸高を算出します。
例:
- 商品A:数量50個、単価1,000円
- 商品B:数量30個、単価2,000円
期末商品棚卸高の計算:
商品Aの価値 = 50個 × 1,000円 = 50,000円
商品Bの価値 = 30個 × 2,000円 = 60,000円
合計 = 50,000円 + 60,000円 = 110,000円
期末商品棚卸高の注意点
- 棚卸方法の統一
在庫評価の方法(先入先出法、総平均法など)は一貫して適用する必要があります。 - 実地棚卸の実施
実際の在庫数量を確認するために、会計期間末に実地棚卸を行います。 - 記帳との整合性確認
帳簿上の在庫と実地棚卸結果が一致しているか確認します。不一致がある場合、その原因を特定して修正します。 - 税務上の影響
期末商品棚卸高が売上原価や利益に影響を与えるため、所得税や法人税の計算に大きな影響を与えます。 - 滞留在庫の把握
期末商品棚卸高には販売可能性が低い滞留在庫も含まれる可能性があります。滞留在庫の減損処理が必要な場合があります。
期末商品棚卸高の具体例
- 商品棚卸高の計上(決算時)
借方:繰越商品 1,000,000円
貸方:仕入 1,000,000円
- 翌期の振替処理(期首商品棚卸高として計上)
借方:仕入 1,000,000円
貸方:繰越商品 1,000,000円
- 売上原価の計算例
- 期首商品棚卸高:1,000,000円
- 当期仕入高:5,000,000円
- 期末商品棚卸高:1,200,000円 仕訳と計算:
売上原価 = 1,000,000円 + 5,000,000円 - 1,200,000円
= 4,800,000円
まとめ
「期末商品棚卸高」は、売上原価や純利益を正確に算出するための重要な勘定科目です。実地棚卸を通じて在庫状況を正確に把握し、帳簿との整合性を確認することが、正確な財務報告と税務申告につながります。定期的な在庫管理と適切な評価方法を活用して、財務管理の精度を向上させましょう。
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