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■引用原文(日本語訳)
そのような、苦との結合から離れることが、ヨーガと呼ばれるものであると知れ。
このヨーガを、ひるむことなく決然と修めよ。
―『バガヴァッド・ギーター』第6章 第23節
■逐語訳(一文ずつ)
- そのような(=前節の「真の幸福にとどまる状態」のような)、
- 苦しみとの結びつきから解き放たれることを、ヨーガと呼ぶのだと知りなさい。
- そして、そのヨーガを、迷わず、恐れず、決然として実践しなさい。
■用語解説
- 苦との結合(ドゥッカ・サンヨーガ):苦しみや不安、迷いとの精神的なつながり。煩悩や執着に由来する内的苦悩の状態。
- 離れること(ヴィヨーガ):苦しみを生み出す根本的な原因(無明・執着)から解き放たれること。
- ヨーガ(yoga):単なる座法や瞑想ではなく、精神を統一し、真理と調和する実践法。ここでは「苦を断つ道」として定義される。
- ひるむことなく決然と(ニシュチェーナ、アニルチャンナ):不安や怠惰、恐れに負けず、確信と意志をもって継続的に行うこと。
■全体の現代語訳(まとめ)
「苦しみとのつながりを断ち切ること」こそがヨーガであると知りなさい。
そしてそのヨーガの修行を、躊躇せず、揺るがず、しっかりと実行しなさい。
■解釈と現代的意義
この節は、「ヨーガとは苦から離れる実践である」と明言しています。
すなわち、ヨーガは哲学でも概念でもなく、実際に人間の苦しみを乗り越える行動なのです。
そして、たとえ困難があろうとも「決して怯まず、あきらめず、実行せよ」という力強い励ましが続きます。
現代人の抱えるストレス、自己不信、焦燥といった“苦の連鎖”から脱するには、知識よりまず「決然とした実践」が不可欠であると語ります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と適用例 |
---|---|
マインドセットの転換 | 苦しみ(失敗・不安)から逃れることではなく、それと結びつかない心の在り方を身につけるのが「ヨーガ的実践」。 |
継続力と覚悟 | 成果が出ない時期や批判に晒されても、ブレずに信念をもって歩むことが、「怯まず修める」姿勢。 |
ストレスマネジメント | 苦しみの元に執着しないことで、より冷静で建設的な対応が可能になる。 |
経営理念の実行 | 理念と利益の葛藤の中で、理念実現のためにぶれず行動し続ける者が、最終的に信頼を勝ち取る。 |
■心得まとめ
「苦しみに縛られない。それが真の自由であり、道である」
ヨーガとは、苦しみを消す哲学ではなく、苦とのつながりそのものを断ち切る実践である。
その道を選んだならば、決して怯まず、揺るがず、続けることが肝要である。
ビジネスの場でも、困難を避けるのではなく、苦に染まらずに行動し続ける姿勢こそが、
長期的な成果と信頼を築く本質となる。
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