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欲と我執に駆られた努力は、心を乱す


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■引用原文(日本語訳)

「また、欲望を求める者や、我執を抱く者が、非常に苦労して行為をなす時、それは激質的な行為と言われる。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第24節)


■逐語訳

欲望(カーマ)を追い求める者や、
「私がやった」「私の成果だ」という我執(アハンカーラ)を持つ者が、
大きな困難を背負って(苦労して)行為を実行する時、
その行為は、ラジャス(激質)に属する行為であるとされる。


■用語解説

  • 欲望(カーマ):利益・成功・名誉・快楽などを求める心。
  • 我執(アハンカーラ):自我意識。「自分のため」「自分の手柄」とする心理的執着。
  • 激質(ラジャス):活動性・衝動性・欲望・不安定さを特徴とする心の性質。
  • 非常に苦労して(アティクラプナ):無理を重ねて努力する、過剰な負担や消耗を伴う行動。

■全体の現代語訳(まとめ)

人が何かを成し遂げようとして、
欲望や自我にとらわれ、結果に執着しながら努力し続けるとき、
その行為はラジャス(激質)に染まり、たとえ成果があっても、心の調和を失ってしまう。
それは、自己中心的な努力であり、魂の安定からは遠ざかる。


■解釈と現代的意義

この節は、努力の方向性と動機の純度が問われていることを示しています。
一見「頑張っている」ようでも、それが欲望や名誉心に突き動かされたものであれば、
内的な成長や持続的な成果には結びつかず、むしろ精神の不安定さを招くという警鐘です。
ラジャス的行為は、他人との比較、焦り、自己顕示欲に基づき、最終的には疲弊と空虚感に陥る傾向があります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での適用例
過剰な成果主義ノルマ・インセンティブだけで駆動される働き方は、一時的な活力を生んでも長期的には燃え尽きや疲弊につながる。
自己承認欲求の暴走「評価されたい」「勝ちたい」という感情が先走ると、チームを犠牲にした非協調的行動が生まれる。
無理な働き方自分の限界や状況を無視して、成果に執着する働き方は、心身を損なう。
リーダーの姿勢自分の成果を誇示したがるリーダーは、部下の育成や信頼形成を損なう。

■心得まとめ

「努力の価値は、動機の清さで決まる」
欲や我執に突き動かされて行う行為は、激しくても美しくはない。
『ギーター』は、心が静まらぬままの苦労は、魂の束縛を深めると説いている。
誠実な努力とは、無私と義務感に基づく、清らかで持続可能な力である。


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