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振出人とは?

振出人(ふりだしにん) とは、小切手や手形などの金融取引において、支払いや受取を指示する人や法人を指します。振出人は、その金融文書を作成し、正当な手続きを経て相手に交付します。

振出人は、小切手や手形に記載される重要な当事者であり、取引において以下のような役割を果たします:


振出人の役割

  1. 支払いを指示する
     小切手では、振出人が銀行に対して、特定の金額を名宛人に支払うよう指示します。
  2. 信用を提供する
     手形では、振出人が一定の金額を特定の日に支払うことを約束します。これは振出人の信用力が基盤となります。
  3. 取引を成立させる
     振出人が小切手や手形を振り出すことで、取引が成立します。

振出人が登場する主な金融文書

1. 小切手

振出人が銀行に対し、名宛人(受取人)に指定された金額を支払うよう指示する金融文書です。

  • 振出人の役割: 小切手を作成し、銀行に支払いを指示します。

2. 為替手形

振出人が名宛人(支払人)に対して、特定の金額を受取人に支払うよう指示する文書です。

  • 振出人の役割: 手形を振り出し、受取人が指定された金額を受け取れるようにします。

3. 約束手形

振出人が特定の金額を指定した期日に受取人へ支払うことを約束する文書です。

  • 振出人の役割: 自らが支払い義務を負う主体となります。

振出人と他の当事者の違い

項目振出人名宛人(支払人)受取人
定義小切手や手形を振り出し、支払いを指示する人支払いを実際に行う人(または銀行)金額を受け取る権利を持つ人
役割支払いの指示者支払いの実行者支払いを受け取る
例(小切手)小切手を作成した企業または個人小切手に記載された支払銀行小切手の金額を現金化する企業または個人

振出人の仕訳例

1. 小切手の振出(支払い)

例:振出人が仕入代金100,000円を小切手で支払った場合。

仕訳:

借方:仕入  100,000  
貸方:当座預金 100,000

2. 約束手形の振出

例:商品購入のため、振出人が約束手形200,000円を発行した場合。

仕訳:

借方:仕入  200,000  
貸方:支払手形 200,000

3. 小切手の不渡り

例:振出人が発行した小切手が不渡りになり、支払いが実行されなかった場合。

仕訳:

借方:不渡手形 100,000  
貸方:当座預金 100,000

振出人に求められる責任

  1. 資金の確保
     小切手や手形の振出前に、必要な資金を確保することが求められます。
  2. 記載内容の正確性
     金融文書の金額や名宛人の情報を正確に記載する必要があります。
  3. 信用力の維持
     手形や小切手の振出は信用取引の一環であり、不渡りを防ぐことが重要です。不渡りが発生すると、振出人の信用が大きく損なわれます。

振出人として注意すべき点

  1. 不渡りのリスク
     不渡りを2回出すと、「銀行取引停止処分」となり、金融機関との取引が制限されます。
  2. 記載ミスの防止
     金額や期日、受取人の名前などの記載ミスがあると、文書が無効になる可能性があります。
  3. 支払期日を厳守
     手形では、支払期日を厳守することで信用を維持します。
  4. 裏書の確認
     手形が第三者に譲渡される場合、振出人が責任を問われる可能性があるため、譲渡状況を把握することも重要です。

振出人のメリットとデメリット

メリット

  1. 資金調達の円滑化
     手形や小切手の振出により、資金繰りがスムーズになります。
  2. 信用取引の活用
     振出人としての信用が高ければ、有利な条件で取引が可能になります。

デメリット

  1. 不渡りリスク
     資金不足や記載ミスにより不渡りとなると、信用が大きく損なわれます。
  2. 責任が発生
     振出人としての記載内容や支払い義務が発生するため、注意が必要です。

まとめ

振出人は、小切手や手形取引において中心的な役割を担う重要な当事者です。支払いを指示する責任を負うとともに、適切な記載や資金の準備を行うことで、取引をスムーズに進めることが求められます。

簿記や経理の学習者や実務担当者は、振出人の役割や関連する仕訳を理解することで、手形や小切手取引の管理や処理を適切に行うスキルを身につけましょう。

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