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■引用原文(日本語訳)
「私はヴィヤーサ仙の恩寵のおかげで、
ヨーガの主クリシュナが自ら最高の秘密であるヨーガについて語った時、
彼から直々にそれを聞いた。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第75節)
■逐語訳
- **私は(アハム)、
- 聖仙ヴィヤーサの恩寵によって(ヴィヤーサ・プラサーダート)、
- ヨーガの主であるクリシュナ(ヨーガイシュワラ・クリシュナート)から、
- 彼自身によって語られた(スヴァヤム・ウクタヴァータ)、
- この最も秘密なるヨーガ(グヒヤマ・パラム・ヨーガム)を、
- 直接に聞いた(シュートヴァーン)。**
■用語解説
- ヴィヤーサ仙:叙事詩『マハーバーラタ』や『ヴェーダ』編纂者とされる大聖者。サンジャヤに神視力を授けた。
- 恩寵(プラサーダ):悟りや知識を得るきっかけとなる、神聖な助け。
- ヨーガイシュワラ(ヨーガの主):神としてのクリシュナ。宇宙的調和(ヨーガ)の究極の担い手。
- グヒヤマ・パラム・ヨーガム(最も秘密なるヨーガ):知識と信愛と実践を融合させた、至高の霊的教え。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私は、聖仙ヴィヤーサの恩寵によって、
宇宙的なヨーガの支配者クリシュナが自ら語った、
最も奥深く、神秘的な教えを、直接この耳で聞くことができたのです。」
■解釈と現代的意義
この節は、サンジャヤ自身が**「聞くことができた背景」**を明らかにしています。
それは、自分の力ではなく、「恩寵(助け・導き)」によるものでした。
ここには二つの重要な要素があります:
- 真理に触れるには、努力だけではなく恩寵が必要であること
- 真理を語る者(クリシュナ)と、それを伝える力(ヴィヤーサ)の双方がそろってこそ、学びは成立する
つまり、学ぶとは、一人で成し遂げるものではないという示唆です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での適用例 |
---|---|
メンターの存在 | 自分ひとりで到達できない真理には、導いてくれる存在が不可欠。良き上司・師の役割はそこにある。 |
機会への感謝 | 良質な学びや体験の背景には、多くの「見えない支援」がある。気づきと感謝が次の成長を呼ぶ。 |
受け取る力 | 知識や助言を受け取るためには、開かれた姿勢と敬意が必要。自力だけでは限界がある。 |
恩を力に変える | 恩を受けたと感じたとき、それを「自分の使命」に転化することが、持続するモチベーションになる。 |
■心得まとめ
「真理は、与えられる。そして、それを受け取る準備が必要である」
サンジャヤは、ただ偶然に聞いたのではない。
彼には、受け取るに値する恩寵と、準備があった。
それは、私たちに問う。
――あなたは、学びの恩寵に気づいているか?
――その教えを、どう生かそうとしているか?
次節(第76節)では、サンジャヤがその体験にどれほどの歓喜を覚えているかが語られます。
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