■ 引用原文(日本語訳)
先ず自分の身を正しくせよ。次いで他人に教えよ。
――『ダンマパダ』第6章より
■ 逐語訳と用語解説
- 先ず自分の身を正しくせよ:教えを説く前に、自らの行いを正し、模範となる生き方を実践せよ。行動の一致が信頼を生む。
- 次いで他人に教えよ:自己修養を果たしたうえで、他者に対して言葉と態度によって導きを与えよ。
- 正しくする(サンマー・カッタ):倫理的で誠実な生き方を実践し、言行一致を貫くこと。
- 教えよ(デーセ):知識を押しつけるのではなく、行いと実践をもって静かに影響を与える。
■ 全体の現代語訳(まとめ)
「他人に何かを教え導こうとする前に、自分自身の生き方が正しいかを問いなさい。自己が整っていないままに教えれば、言葉は空しく響く。まず行動をもって示し、その後に言葉を与えなさい。」
この句は、教育・指導・助言にあたる者すべてへの戒めでもあります。
■ 解釈と現代的意義
この教えは、自己を省みることの優先と、行動による教育の力を示しています。現代でも、「あの人の話は説得力がある」と感じる時、それは単に話術ではなく、その人の生き方が裏付けになっているからです。
SNSでの情報発信や、組織におけるマネジメントでも同様です。「自分がやっていないことを人に言う」ことほど、人の信を失うものはないのです。
■ ビジネスにおける解釈と適用
領域 | 適用例 |
---|---|
マネジメント | 「率先垂範」が信頼の礎。部下に求める行動はまず自らが実践する。 |
リーダーシップ | 指示や命令ではなく、日頃の姿勢・姿をもってチームを導くリーダーが強い影響力を持つ。 |
教育・研修 | 知識を教える前に、態度・誠実さ・行動の一致によって「人間から学ばれる」存在になる。 |
人間関係の信頼 | 自己の未熟さを見つめ直し、謙虚に学びながら語ることで、相手の心に届く言葉になる。 |
■ 感興のことば(心得まとめ)
「自ら実践せずして、他人を導くなかれ」
行いと一致しない言葉は信頼を失い、
自らを律して初めて、他者の心を照らす光となる。
自己を正し、その生き方をもって教える者こそ、真に人を導く資格を持つ。
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