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自らを治め、流れに呑まれぬ島となれ


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■引用原文(日本語訳)

思慮ある人は、奮い立ち、努め励み、自制・克己によって、激流も押し流すことのできない島をつくれ。
(『ダンマパダ』第2章「はげみ」第25偈)


■逐語訳

  • 知恵ある者(思慮深い者)は、
  • 心を奮い立たせ、
  • 努力を重ねて励み、
  • 自らを律し、欲望を制し、
  • どんな激しい流れにも流されない「島」を築きなさい。

■用語解説

  • 思慮ある人(パンディター):洞察と理性を備えた人物。自他に誠実で、正しい判断力を持つ者。
  • 奮い立ち(ウッサーハ):やる気、精神的エネルギー。怠け心から自らを引き上げること。
  • 努め励み(ヴィーリヤ):継続的な努力。困難にもあきらめず、挑み続ける態度。
  • 自制・克己(サマ・ダンマ・タパ):感情や欲望を抑え、自らを統御する力。
  • 激流(オーガ):煩悩・欲望・世俗の誘惑など、心を乱し流そうとする力。
  • 島(ドゥイーパ):安定と独立の象徴。精神的な拠り所であり、流されない確固たる自己。
  • つくれ(カレーヤ):能動的命令形。「他者でなく、自分で築き上げよ」という主体性の喚起。

■全体の現代語訳(まとめ)

思慮深い人は、自らを奮い立たせ、努力し、欲望を制して自己を律することによって、世俗の激流に押し流されることのない堅固な「心の島」を築くべきである。それは他者に頼るのではなく、自分の意志と精進によって築かれる避難所であり、揺るがぬ安らぎの地である。


■解釈と現代的意義

この偈は、変動と誘惑の激しい現実の中で、「自律した心」を持つことの重要性を力強く説いています。
私たちは日々、情報・感情・誘惑・競争といった激しい「流れ」にさらされています。
それらに流されるのではなく、自らの軸をもって立つ――それがこの偈の教える「島を築け」というメッセージです。

これは、孤立や逃避を意味するものではなく、精神的な安定・独立・内的拠点の確立を意味します。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
自己統制焦り・怒り・欲望に流されず、冷静な判断と行動ができる人材がリーダーとして信頼される。
原則の保持周囲の圧力や流行に流されず、理念と信念を貫くことで、組織に安定感をもたらす。
意志力継続的努力と自己律しながら目標に向かう人が、最も成果をあげる。
組織文化各人が自立して考え、揺るぎない判断軸を持っている組織は、外部環境に左右されにくい。

■心得まとめ

「流れに流されるな。自らの心に島を築け」

世界は常に変わり、騒がしい。しかし、どんな激流の中にあっても、自分の心の中に静かな「島」を持つ人は決して崩れない。
努力し、自律し、内なる島を築いた人にこそ、真の自由と安らぎが訪れる。


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