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一つの小さなことにこだわりすぎない

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小さな真実に固執することの危険性

孟子は言った。
「君子は一つの小さな真実にこだわりすぎることはありません。一つのことに固執してしまうと、場合によってはおかしな結果になってしまうこともあります。」

ここでの「小さな真実(亮)」は、些細なことに過ぎない細かい理屈や事実を指しています。
孟子は、君子はそのような細かいことに執着せず、広い視野で柔軟に物事を判断するべきだと教えています。

一つの小さな事柄に執着しすぎることで、全体のバランスを失ったり、大事なことを見失ったりすることになる可能性があるため、君子は常に広い視野を持ち、融通の利く考え方をするべきだと孟子は強調しているのです。

この章では、君子が小さな事柄にこだわりすぎないことの重要性を強調しています。全体のバランスを取るためには、柔軟な考え方と広い視野が必要だと教えているのです。

原文

孟子曰、君子不亮、惡乎執。

書き下し文

孟子(もうし)曰(いわ)く、君子(くんし)は亮(りょう)ならず。執(と)ることを悪(いずく)んぞ。

現代語訳(逐語/一文ずつ)

  • 孟子は言った。
  • 「君子が明らかでなければ(=内面に明徳がなければ)、何を拠り所にして物事を執り行うことができようか?」

用語解説

用語解説
君子道徳的に優れ、理想を持ち社会に貢献する人物。
亮(りょう)明るい、明徳の意。心が明るく清らかであること。儒教では「誠実で理にかなった心の輝き」。
執(とる)方針・判断・行動を確定すること。リーダーが何を基準にすべきか、という問いでもある。
悪乎(いずくんぞ)いったいどこに?どうして?(疑問・反語)

全体の現代語訳(まとめ)

孟子はこう述べた:

「君子(リーダー)が内面に誠実さや明徳(亮)を持っていなければ、
いったい何を拠り所にして物事を判断し、執行するというのか。」

解釈と現代的意義

この章句は、「リーダーにとっての拠り所は内面の明徳である」と説いています。

  • 「亮」とは、**理性と誠意が融合した“心の明るさ”**を意味します。
  • 外面的な知識や肩書き、力ではなく、内面的な倫理性や正しさこそが、行動や判断の根拠となるべきだという孟子の信念が表れています。

現代にも通じる思想として、人は“明確な価値軸”がなければ、いかなる正しい行動もとれないという教訓を与えています。

ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)

❖ 「内なる理念なきリーダーは、判断軸を失う」

  • 方針や意思決定において、数値や外圧ばかりに左右されるリーダーは“亮なき者”である。
  • “会社としての価値観”や“個人としての信条”が明確でなければ、持続可能な判断はできない。

❖ 「組織の“行動指針”は、リーダーの“亮”に宿る」

  • 自分の判断が“道徳”に照らして正しいか、日々見直すことが重要。
  • ブレない経営・マネジメントの軸は、「自分が何を信じて行動しているのか」が明らかになっているかにかかっている。

❖ 「外の成功より“内の光”を重んじよ」

  • 評価や数字だけを追うのではなく、その行動が誠実か、正しいか、社会に資するかで判断する“明るい心”が不可欠。

まとめ

「理念なき行動は、判断を誤る──“亮”があってこそのリーダーシップ」

この一句は極めて短く、簡潔でありながら、
**「倫理・信念こそがすべての判断の出発点である」**という
リーダーにとって普遍の真理を突いています。

今後のご希望に応じて、このような章句をまとめて
**「現代のリーダーのための孟子講義」**として整理することも可能です。

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