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📖 引用原文(日本語訳)
「もしも汝が苦しみを恐れるならば、もしも汝が苦しみを嫌うならば、あらわにも、あるいは秘密にでも、悪い行ないをなすな。」
※この句は、『ダンマパダ(法句経)』第314偈に類似しています:
「もし汝が苦しみを怖れるならば、あからさまにも、隠れてでも、悪を行うな。」
🔍 逐語訳(意訳)
「もしあなたが、未来に訪れる苦しみを本当に怖れているのなら、
他人の目がある時だけでなく、誰にも見られていない時にも、
決して悪い行いをしてはならない。
それこそが、苦しみを避けるたった一つの確かな道である。」
🧘 用語解説
- 苦しみ(ドゥッカ):
仏教でいう「苦」。肉体的・精神的な不安、恐れ、悩み、後悔などを含む広義の苦悩。 - あらわに/秘密に(ヴィヴァタム・グプタム):
人前でも、隠れてでも。行為の場がどこであれ、道徳は貫かれるべきだという考え。 - 悪い行い(アクーサラ):
他者を傷つける、欺く、自己中心的な行為。外面的かつ内面的な非倫理的行動。
🪷 全体の現代語訳(まとめ)
「苦しみ」を本当に避けたいならば、
それは単に逃げることや薬で抑えることではなく、
**「悪をなさない」**という根本的な道徳行為によってしか実現されない。
表面上の善人ではなく、内側から善を選ぶ者こそが、
苦しみの根を断ち切ることができる――
この節は、行動の誠実さが苦しみからの自由を決めるという道理を明確に説いている。
🏛 解釈と現代的意義
現代では「ばれなければ問題ない」「表向きよければよい」といった感覚が広まりがちですが、
この句は明確にそれに警鐘を鳴らします。
本当に「後悔したくない」「傷つきたくない」と願うのであれば、
隠れてでも正しくあることこそが最上の予防策であると教えています。
道徳とは、外からの監視でなく、自分の内なる選択によって支えられるものです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実践的応用 |
---|---|
透明性と信頼 | 上司や外部の目がないところでも倫理を守る社員は、信頼され、長期的に評価される。 |
コンプライアンス | 法令違反や内部不正は、たとえ一時的に得をしても、最終的には大きな損失・苦悩を招く。 |
自律的倫理観 | 規則があるから守るのではなく、守る価値があると信じて自ら正しく行動する人材が、組織の軸となる。 |
リスク管理 | 短期的成果のために「少しの嘘」を許す文化は、やがて致命的な失敗へとつながる。 |
🧭 心得まとめ
「見られていない時こそ、本性が試される」
真の人格とは、
誰も見ていない場面でどう行動するかによってこそ決まる。
苦しみの原因を断ち切りたいのなら、
人前でも密室でも、自ら正しい行動を選び続けるしかない。
それが、心の平安と未来の安全を築く最も確かな道なのです。
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