目次
📜引用原文(日本語訳)
一四*
風が吹いても岩山が動揺しないように、修行僧は、慢心が滅びてなくなるから、岩山のようにゆるがない。
― 『ダンマパダ』 第二章 第十四偈
🔍逐語訳(文ごとの意訳)
- 風が吹いても岩山が動揺しないように:外からの衝撃にびくともしない岩山のように、
- 修行僧は:修行に励み、内面を深めた者は、
- 慢心が滅びてなくなるから:自己への過信や誇り、他者より優れているという思いが消滅しているため、
- 岩山のようにゆるがない:賞賛にも非難にも動じない、不動の精神状態を保っている。
📚用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
慢心(まんしん) | 仏教における「七慢」の総称。他人を見下したり、己を過大評価する心。隠れた煩悩として最も根深い。 |
岩山 | 揺るがぬ信念と心の象徴。悟りに近づいた者の不動の姿勢をあらわす。 |
ゆるがない | 評価や比較によって心を上下させることがない、確固とした心の在り方。 |
🪞全体の現代語訳(まとめ)
激しい風にもびくともしない岩山のように、
自らを誇らず、他者を見下さず、慢心を完全に捨て去った修行僧は、
外の評価や批判に心を乱されることなく、静かに、堅実に、生きる。
その心は、すでに揺るぎないものとなっている。
🧠解釈と現代的意義
この偈は、「慢心(=心の優越感)を超えることこそ、本当の強さと安定につながる」という教えです。
慢心は、しばしば他者を見下す意識として現れますが、裏には「他者と比べなければ保てない自己像」があります。
つまり慢心は、実は不安定さの裏返しなのです。
それを乗り越えたとき、人は真に「ブレない自分」を得ることができます。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
謙虚なリーダーシップ | 自分の力や地位を誇示せず、現場や仲間へのリスペクトを忘れないリーダーは長く信頼される。 |
比較からの自由 | 他人と自分を比較して優越感や劣等感にとらわれるのではなく、自分の基準で一歩ずつ前進する姿勢が持続可能な働き方をつくる。 |
実力を示す沈黙 | 言葉や態度で自分を大きく見せるのではなく、行動や結果で自然に尊敬を集めるスタイルが理想的。 |
賞賛や非難への耐性 | 誉め言葉にもおごらず、批判にも動じない安定した内面は、経営者・管理職にとって極めて重要な資質。 |
✅心得まとめ
「誇らぬ者は、最も高く立つ」
人は称賛されると慢心し、批判されると傷つく。
だが、慢心という幻想を捨てた者は、風が吹こうが、雷が鳴ろうが、揺らぐことがない。
それは、自分自身と真理との間に、もはや比較も飾りも必要ないという境地である。
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