目次
🔖 原文（日本語訳）
「よい果報を生ずるもととして善い行ないを実行せよ。
報いを生ずるもととして悪い行ないを実行するな。
ことわりに従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す。」
――『ダンマパダ』第1章「双句品」第5偈
📝 逐語訳
- よい果報を生ずるもととして：幸福や良い結果を生み出す原因として、
- 善い行ないを実行せよ：道理にかなった善意ある行動を積極的に行いなさい。
- 悪い行ないを実行するな：悪果をもたらす不正や加害の行為を避けなさい。
- ことわりに従って行なう人：真理や道徳、自然の法則（ダルマ）に従って生きる者は、
- この世でも、あの世でも、安楽に臥す：現世でも来世でも心安らかに生き、死後も報われる。
🧩 用語解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 果報（カルマ・ヴィパーカ） | 行為の結果として受け取る報い。良い行いは良い結果を、悪い行いは悪い結果を生む。 |
| 善い行ない（クシャラ・カルマ） | 慈悲・誠実・他者への配慮・真実の言葉などによる行動。 |
| 悪い行ない（アクシャラ・カルマ） | 欺き・暴力・貪欲・怒りなどによる有害な行動。 |
| ことわり（ダルマ） | 宇宙の法則、道理、倫理原則、真理そのもの。 |
| この世／あの世 | 現世（今の人生）と来世（死後の存在）。仏教では生死を超えた因果を重視する。 |
🌐 全体の現代語訳（まとめ）
善い行いは、良い結果をもたらす源である。だから積極的に実行しなさい。悪い行いは、報いとして苦しみを生むので、それを避けなさい。真理に沿って行動する人は、この世においても、死後においても、心からの安らぎを得ることができる。
💡 解釈と現代的意義
この偈は、因果応報の明確な倫理的教えです。行動には必ず結果が伴い、それは目に見える形だけでなく、心の安らぎや人生全体の質にも影響を与えます。
現代社会でも、短期的な利益に目を奪われて不正に手を染める誘惑は多くありますが、この教えは「正しい行為こそが真の幸福を保証する」と警鐘を鳴らします。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
| 観点 | 解釈・適用例 |
|---|---|
| 経営方針 | 長期的視野で善い行動（誠実・透明性・公正）を積むことが、ブランド価値と顧客信頼を高める。 |
| 従業員育成 | 目先の結果に囚われず、正しい判断・行動を尊重する文化が、組織の健康と成長につながる。 |
| 倫理的判断 | 不正や虚偽報告などの短期的利益を追う代償は大きく、誠実な行動を継続することが最終的に報われる。 |
| 自己成長 | 成功よりも、行動の質を大切にすることで、人格的成長と持続可能な成果が得られる。 |
✅ 心得まとめ
「よい行いは、目には見えずとも、確実に心を照らす光となる。」
善き行動は、たとえすぐに報われなくとも、必ず内なる安らぎをもたらし、人生を支える基盤となる。
悪を避け、真理に従って生きる姿勢は、この世の平穏だけでなく、来世の安らぎまでも照らす、普遍の道なのです。
コメント