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結果にとらわれず、平常心で義務を果たせ


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第38節
クリシュナは言った。
「苦楽、得失、勝敗を平等(同一)のものと見て、戦いに専心せよ。
そうすれば罪悪を得ることはない。」


■逐語訳

  • 苦楽(スカ・ドゥッカ):快適と苦しみ、幸福と不幸。
  • 得失(ラーバ・アラーバ):利益と損失。
  • 勝敗(ジャヤ・アジャヤ):勝利と敗北。
  • 平等に見よ(サマ・ブーヴァ):それらを等価なものとして受け入れよ。
  • 戦いに専心せよ(タスムート・ユッタヤ・ユジュヤスヴァ):だから、義務の戦いに集中しなさい。
  • 罪を得ない(ナ・パーパム・アーヴァープスィ):結果への執着がなければ、道徳的過失(カルマの縛り)に陥らない。

■用語解説

  • サマ(平等心):物事に対する偏りのない態度、執着のない冷静さ。
  • ヨーガ(結び・調和):本来は「統一・調和」を意味し、ここでは「心の平衡を保ち義務に徹する生き方」。
  • パーパ(罪悪):義務を果たさない、または執着による行為によって生じる霊的・道徳的な障害。
  • ユジュヤスヴァ(専心せよ):心を定めて従事すること、迷いのない献身的な実践。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、アルジュナにこう語ります。
「成功・失敗、損得、喜び・悲しみといった結果に心を乱されず、
ただ義務の遂行に心を集中せよ。そうすれば、どんな罪にも陥ることはない。」

これは、**「結果よりも動機と心の姿勢こそが重要である」**という、カルマ・ヨーガ(行為のヨーガ)の核心を成す教えです。


■解釈と現代的意義

この節では、「平常心」と「無執着」の力が強調されています。
私たちはしばしば、損得や評価に一喜一憂し、義務や本質を見失いがちですが、
目の前の行為に純粋な心で向き合うことこそが、真に自由で価値ある人生のあり方だと説かれます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
成果主義の罠結果に執着しすぎると、本質的な判断力を失う。プロセス重視が長期的な信頼と成果をもたらす。
リーダーシップ勝敗や部下の評価に振り回されず、ブレない指針でチームを導くことが尊敬を生む。
メンタルマネジメント苦楽・得失を等しく受け入れる思考は、困難な局面での冷静さと持続力につながる。
プロフェッショナリズム結果に左右されず、淡々と義務を果たす姿勢は、信頼と高評価を自然に引き寄せる。

■心得まとめ

「執着を捨てたとき、行為は自由になる」
苦楽や損得、勝敗の影に怯えることなく、
ただ「やるべきこと」に集中する――それが真の行動者の在り方

バガヴァッド・ギーターは告げます:
「結果を恐れるな。平常心で務めよ。それこそが、罪を超える道である」


この節をもって、カルマ・ヨーガの精神的基盤が明確になります。
次の第39節からは、この行為のヨーガにおける智慧の側面が語られていきます。

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