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違いばかりを見る知は、分裂を生む


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■引用原文(日本語訳)

「また、その知識が万物の中に、各種各様の状態を別個のものと認める時、それを激質的な知識と知れ。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第21節)


■逐語訳

もし人が、万物の中に存在する多様な現象や状態を、
完全に分離された別個のものとしてしか認めないならば、
そのような認識は、ラジャス(激質)に属する知識であると知りなさい。


■用語解説

  • 激質(ラジャス):情熱・欲望・活動性・衝動性などを表す性質。ここでは「分別しすぎる、執着する知識」。
  • 各種各様の状態(プルクルタ・ヴィダーン):人種・立場・職業・思想・見た目など、表面的な多様性。
  • 別個のものと認める(プルタクトヴェナ):全体とのつながりを見ず、バラバラに独立したものとして扱う見方。

■全体の現代語訳(まとめ)

もし人が、物事の背後にある共通性や統一性を見ず、
あらゆるものを「これはこれ」「あれはあれ」と完全に分断して捉えるならば、
その知識はラジャス(激質)に属し、部分的で衝突を生む可能性がある。
このような知識は、世界を統合するよりも、分裂と対立をもたらす。


■解釈と現代的意義

この節は、「分析的な知識の限界」を示しています。
現代社会でも、専門分野・業種・人種・国籍などを細かく分けることで、それぞれの違いを理解しやすくなった一方、
「違いにばかり注目し、共通性を見失う」ことによって分断や対立が生じています。
この激質的知識は、現代の過度な差別化・過剰な競争・排他性
にもつながる傾向です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での例
部門間の壁営業と開発、現場と管理などが「自分たちは別」と思い込みすぎると、連携不全に陥る。
評価と偏見経歴や肩書きだけで人を評価し、その人の本質や可能性を見ない知識は、組織の成長を妨げる。
市場戦略他社との差別化ばかり追い求め、本来の社会的使命や顧客とのつながりを忘れると、ブランドは空洞化する。

■心得まとめ

「違いを見るなとは言わない。だが、違いに支配されるな」
激質的な知識は、世界を断片化し、分断の視点から物事を見てしまう。
部分を見て全体を見失えば、知識はかえって無明となる。
『ギーター』は、「多の中に一を見る知」こそが成熟であると対比的に教えている。


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