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本質に宿る至高の力――知と意に神性を見る


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■引用原文(日本語訳)

「私は諸ヴェーダにおけるサーマ・ヴェーダである。神々におけるヴァーサヴァ(インドラ)である。私は諸感官における意(思考器官)である。万物(生類)における知力である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第22節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • vedānāṁ sāma-vedo ‘smi
     → 諸ヴェーダの中では、私はサーマ・ヴェーダである。
  • devānām asmi vāsavaḥ
     → 神々の中では、私はヴァーサヴァ(=インドラ)である。
  • indriyāṇāṁ manaś cāsmi
     → 感官の中では、私は意(マナス=思考器官)である。
  • bhūtānām asmi cetanā
     → 生類(存在)の中では、私は知力(チェタナー)である。

■用語解説

  • サーマ・ヴェーダ(Sāma-Veda):四ヴェーダの一つで、旋律(メロディ)と儀礼歌を中心とする。ヴェーダ中で最も音楽的・霊的とされる。
  • ヴァーサヴァ(Vāsava)/インドラ:雷を司る天界の王。神々の中でも最も強力な存在。
  • マナス(Manas):思考・感受・記憶を司る内的器官。五感と知性(ブッディ)を統合する働きを持つ。
  • チェタナー(Cetanā):意識・知覚・知力。生命に宿る知的な力の象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

「私はヴェーダ文献の中でも最も霊性に満ちたサーマ・ヴェーダであり、神々の中では最強のインドラであり、感覚の中では意識そのものであり、生きとし生けるものの中では知性そのものである」と、クリシュナは告げる。
この節は、目に見える世界の背後に働く“知”と“意志”にこそ、神聖なる本質が宿っていることを示す。


■解釈と現代的意義

この節は、「精神の中枢にある働きこそが、神の示現の中核である」と説いています。物質や行動だけでなく、それを司る“心”“意志”“知”が最も神に近い働きであるとされるのです。
つまり、知力をどう使うか、意志をどう働かせるか――その中心に神性は宿ります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
リーダーの資質組織やチームの指導者は、力(インドラ)だけでなく、「知力」「思考力」でこそ統率を果たす。
意思決定表層の情報に流されず、「心(マナス)」と「知性(チェタナー)」によって本質を見極める態度が必要。
組織の価値観行動や結果よりも、その背後にある意図や理念を重視する文化づくりが、神性のある組織を育む。
個人の成長五感の欲望を追うより、内なる知性や心の力を鍛えることが、真の成長に繋がる。

■心得まとめ

「意と知に宿る力――五感を超えて本質を掴め」

真の力とは、音や姿に表れるのではない。
最も静かな“意”と、最も深い“知”の中にこそ、神の働きがある。
ビジネスにおいても、声高な主張よりも、静かに燃える意志と明晰な知性こそが世界を動かす原動力なのです。

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