蟹はその甲羅に合った穴を掘るという。
人もまた、己の器量を知り、分を守って生きるべきである。
分を超えて誇れば、身を滅ぼし、誠を失えば、信を失う。
己を飾ることなく、できることを確かに積み重ねる。
その根には、誠心誠意がなければならぬ。
誠をもって物事にあたり、誠をもって人に接し、誠をもって己を律する。
それ以外に、正しき道はない。
才に溺れず、欲に走らず、ただ真実に生きる者は、自然と人に信を寄せられる。
それが、長く世に立つための唯一の道である。
○私は蟹は甲羅に似せて穴を掘るという主義で、渋沢の分を守るということを心掛けておる。……私の主義は誠意誠心、何事も誠をもって律すると言うより外、何物もないのである。 渋沢 栄一. 論語と算盤 (角川ソフィア文庫) (p. 20). (Function). Kindle Edition.
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