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開拓営業は社長の最重要責務

開拓営業は社長の最重要責務

日本航空電子の創業者・沼本実氏の経営手法は、社長が自ら開拓営業を担うべきだという考えを如実に体現しています。昭和28年、わずか3名でスタートした同社は、工場も設備もない中、社長自らが現場に足を運び、顧客開拓に全力を注ぐ姿勢を見せました。この情熱と行動力が、後の成功を導く礎となったのです。


開拓営業の重要性を示す実例

沼本氏は創業当初、極東空軍立川基地を相手に修理品の受注活動を行いました。雨の日も風の日も休むことなく通い続けた結果、基地の係官から「厄介な修理品」を与えられるという試練を受けます。この一見無理難題とも思える案件に対しても、沼本氏は持ち前の熱意で挑み、問題を解決。たった5ドルの契約ではありましたが、これが会社の信頼を築き、後の大きな受注へと繋がったのです。

さらに、アメリカ最大のプラグメーカー・キャノン社との技術提携や、ハネウェル社とのジャイロ技術提携という大きな成果も、沼本氏自らの行動がきっかけとなっています。特にハネウェル社の提携交渉では、規模も実績も大きく劣る状況下で、沼本氏の経営哲学や情熱が相手の社長の心を動かし、「会社ではなく、この男にライセンスを与える」という決定を引き出しました。


社長が開拓営業を担うべき理由

このように、日本航空電子の成功事例が示しているのは、「開拓営業は社長自身が行うべき仕事である」という普遍的な真理です。その理由は次の通りです。

  1. 会社の成否を左右する重要顧客の開拓は、社長にしかできない
    企業の命運を握る重要な顧客を開拓するのは、社員や部下ではなく社長の役割です。特に、創業期や成長期の企業では、社長の情熱や経営哲学が顧客や取引先との信頼関係を築く上で決定的な要素となります。
  2. 人材に依存するリスクを回避する
    「優れた営業責任者に任せたい」と願う社長は多いですが、現実的には、会社の未来を左右するほどの重要顧客を社員が自力で開拓するケースは稀です。仮にそれができるような人物がいれば、既に独立して自分の事業を始めていることでしょう。
  3. 社長の行動が会社の方向性を決める
    沼本氏のように、社長自身が自ら行動し、顧客の信頼を勝ち取ることで、会社のビジョンや価値観が外部に伝わります。これにより、単なる取引を超えた深い関係性が築かれるのです。

開拓営業を社員に任せる社長の落とし穴

「社員に期待して任せる」という姿勢は一見合理的に思えますが、現実には次のような弊害をもたらします。

  • 社員の能力や熱意に依存する経営
    社長が現場を知らず、社員任せにしてしまうと、会社の方針が曖昧になり、成果が出ない場合に責任の所在が不明確になります。さらに、社員が期待通りの結果を出せなかったとき、社長は批判するだけで自ら解決策を講じないケースが多く見られます。
  • 市場や顧客のリアルな声を失う
    社長が直接営業活動に関与しないと、現場からのフィードバックを受け取る機会が減少します。これにより、市場の変化や顧客のニーズに対応するタイミングを逃し、競争力を失うリスクがあります。

社長が自ら動くことの意義

開拓営業は、単なる営業活動以上の意味を持っています。それは、会社の価値観やビジョンを外部に伝え、信頼を築く行為です。社長が自ら動くことで、顧客や取引先は「この会社は信頼に足る」と感じ、長期的な関係性が生まれます。

沼本氏がハネウェル社の社長から「会社ではなく、この男にライセンスを与える」と評価されたように、会社の未来は社長自身の行動によって大きく変わるのです。


結論:開拓営業は社長の使命

会社の成長や成功を支える重要な顧客や事業の基盤を築くのは、他でもない社長自身の責務です。社員や部下に頼るだけではなく、自ら先頭に立ち、情熱をもって行動することが、成功への鍵となります。

「開拓営業は社長の仕事である」――この基本を忘れず、自ら行動を起こすことで、企業は真の発展を遂げることができるのです。

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