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他人を責める者は、自らを滅ぼす


目次

📜 引用原文(日本語訳)

他人の過失を探し求め、つねに怒りたける人は、煩悩の汚れが増大する。かれは煩悩の汚れの消滅から遠く隔っている。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第253偈


📘 逐語訳

  • 他人の過失を探し求め:他者のあら探し、批判、非難ばかりに心を向ける。
  • つねに怒りたける人:怒りに囚われている人。すぐに怒る性質。
  • 煩悩の汚れが増大する:貪・瞋・痴などの内面の汚れが強まり、さらに心が濁る。
  • 煩悩の汚れの消滅から遠く隔っている:悟りや心の清浄さからますます離れてしまう。

🧾 用語解説

用語意味
過失他人の失敗・欠点・過ち。
怒りたける怒りに支配される、すぐに感情的になる。
煩悩の汚れ心を曇らせる欲望・怒り・無知などの心の障害。
消滅煩悩を断じて悟りの道に進むこと。仏教では「涅槃」に至る過程。

🌏 全体の現代語訳(まとめ)

他人の過ちを常に探し、怒りを募らせている者は、自分の内なる煩悩をますます育ててしまっている
そのような者は、心の清らかさや悟りといった境地からますます遠ざかっていく
他人を責めることに忙しい者は、本当に清めるべき“自分自身”に目を向けることができないのである。


💡 解釈と現代的意義

この偈は、他者批判と怒りの感情に囚われることの危険性を強く戒めています。
私たちは、正義感や正当性を理由に、つい他人の過失を指摘したくなりますが、
その背後に怒りや優越感、自己正当化が潜んでいれば、それは「善意」ではなく、煩悩の増幅装置になってしまいます。

仏教が説く「清らかさ」とは、他者を責めないことで得られる、内なる静けさです。
この偈は、「怒りと批判は悟りの妨げである」という根本的な真理を明快に示しています。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点説明・適用例
批判文化他人のミスばかり指摘する組織は、成長よりも責任転嫁が蔓延する。
怒りのマネジメント部下や取引先に対する怒りをコントロールできないリーダーは、信頼を失い、組織を荒らす。
自己成長の妨げ他者に目が向きすぎていると、自分自身の弱点や改善点を見落とす。
問題解決能力問題の所在を他人に求め続ける人は、根本解決よりも責任追及に陥りやすい。

🧭 心得まとめ

「他人の過失を探す心が、あなたの煩悩を育てている」

怒り、責め、非難――
それらは、あなたを正義に導くのではなく、煩悩の濁流へと引き込む火種になる。
本当に清らかな者は、まず自分の心の静けさを守る
それが、怒りの連鎖を断ち、悟りに近づく第一歩である。


この偈は、「見つめるべきものは他人ではなく自分の心である」という仏教的倫理の要諦を示します。

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