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欲望を人生のすべてと信じる者は、永遠に満たされない

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■引用原文(日本語訳)

彼らは、限りない、死ぬまで続く思惑にふけり、欲望の享受に没頭し、『これがすべてだ』と確信する。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第11節)

■逐語訳(一文ずつ)

  • 阿修羅的な者たちは、
  • 限りない思惑(無限の欲望・計画)に耽り、
  • 死ぬその時まで物質的享楽に夢中になり続ける。
  • そして、「この欲望の満足こそが人生のすべてだ」と信じて疑わない

■用語解説

  • 限りない思惑(アパリメーヤ・チャンタ):終わりのない欲望、未来への不安と執着から生じる過剰な計画・期待。
  • 享受(カーマ・ボーガ):感覚的な快楽、物質的な満足の追求。
  • 「これがすべてだ」という確信(イタム・アスティ・イティ・ニシュチャヤ):欲望の満足こそが人生の目的であり、それ以外は意味がないという確信的錯覚。

■全体の現代語訳(まとめ)

阿修羅的な性質を持つ者は、無限に広がる欲望の思惑に取り憑かれ、死ぬまで快楽の追求に耽る。そしてそれを「人生の目的」だと誤って信じている――とクリシュナは語る。

■解釈と現代的意義

この節は、「欲望中心の人生観」への深い警告である。
現代でも、「成功=金・快楽・モノ」と信じ込み、それ以外の価値(奉仕・学び・真理・精神性)を軽視する傾向がある。だがそのような人生は、どれほど満たしても「もっと」を求め続け、決して心の平安に至ることはない。誤った確信は、欲望の奴隷をつくる


■ビジネスにおける解釈と適用

観点ビジネスへの適用・警告
過剰な拡大志向成長・利益を「目的そのもの」と見なすと、倫理・持続性が軽視され、いずれ歪みを生む。
モチベーション設計の限界物質的報酬(給与・昇進)だけに頼ると、人は満たされず、離脱・燃え尽きが起こる。
人生設計の盲点「キャリア成功=幸福」という一元的価値観は、空虚感と人生の迷いを生む。
組織文化の劣化欲望ベースの文化(競争・獲得・誇示)では、人間関係や誠実さが損なわれやすい。

■心得まとめ

「欲望を満たすことがすべてだと思うと、心は永遠に飢える」

人生には「欲望以上の意味」がある――それを知らぬ者は、満たしても満たしても不安に駆られ、さらに求め続ける。

ギーターは警告する。限りない欲望に飲まれたとき、人は自らの魂の声を聞き取ることができなくなる
だからこそ、満足を外にではなく、内に求める智慧が必要である。

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