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心を整えれば、情欲は入り込めない


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📜 引用原文(出典:『ダンマパダ』第3章 第17偈)

屋根をよく葺いてある家には雨の洩れ入ることが無いように、
心をよく修養してあるならば、情欲の侵入することが無い。

(パーリ語原典:
Sārāṃ bhavitaṃ gehaṃ vuṭṭhī na samativijjhati,
Tath’evaṃ bhāvitaṃ cittaṃ rāgo na samativijjhati.


🪶 逐語訳

  • 屋根がしっかりと葺かれた家には、雨が染み込むことはない。
  • 同様に、心がきちんと修養されていれば、情欲がその中に入り込むことはない。

📘 用語解説

用語解説
しっかり葺かれた屋根(sārāṃ gehaṃ)防備が整い、欠陥のない心の状態の比喩。
情欲(rāga)快楽や感覚的な満足への執着。仏教で「三毒」のひとつに数えられる。
心の修養(bhāvitaṃ cittaṃ)瞑想・内省・戒律・智慧によって訓練され、安定した状態の心。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

雨がしみ込まないように、きちんと手入れされた屋根の家は安心して暮らせる。
それと同じように、訓練され、整えられた心には、欲望や誘惑――つまり「情欲」――が入り込む余地はない。
心の堅固さこそが、乱れと煩悩からの真の防御となる。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、前半(第11〜16偈)で説かれた「心が整っていないと煩悩に侵される」という警句に対し、
「心を整えれば煩悩に負けない」という明確な肯定の答えを与える句です。

雨は常に降り、世界には誘惑があふれている。
しかし、屋根を整えれば濡れないように、心を訓練すれば外からの刺激に動じず、自分を保てるのです。
ここで説かれているのは、単なる道徳的我慢ではなく、智慧と習慣による内的防御力の重要性です。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
意思の強さと誘惑への耐性甘い儲け話、過剰な成果主義など、目先の情欲に負けないのは、日々の心のトレーニングによる。
自律型人材の育成規則や監視よりも、「内面から整った心」を育てる教育が、長期的な倫理と成果を支える。
誘惑と集中の切り分け通知・SNS・マルチタスクなど、現代の誘惑は数多いが、心が整っていればブレずに集中できる。
組織文化としての修養個人だけでなく、チーム全体が「心を整える文化」を持っていると、不祥事や崩壊のリスクは著しく減る。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「外を変えるより、内を整えよ。」
「備えられた心は、いかなる誘惑にも沈まない。」

誘惑や情欲が存在することは避けられません。
しかし、それに支配されるかどうかは、自分の心の在り方次第です。
「備えある心」は、人生という雨風の中でも安定し、
そこにこそ真の自由と誠実さ、そして継続的な幸福
が宿るのです。


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