全国展開や広域を対象とする事業では、営業所・支店・部門ごとに利益計画を立てることが非常に重要です。これにより、各拠点や部門の収益性を把握し、より実戦的な経営管理が可能となります。
本記事では、営業所・支店・部門別利益計画の基本的な作成手順と、計画を実現するためのポイントをご紹介します。
営業所・支店・部門別利益計画とは?
この計画は、営業所・支店・部門ごとの採算性を把握するために作成します。どの営業所や支店が収益性が高く、どの部門に改善が必要かを具体的に把握できます。これにより、戦略的な資源配分や経営改善が可能になります。
作成手順
STEP 1:利益計画表の準備
利益計画表に「営業所・支店営業利益」や「部門営業利益」、そして「共通費」という項目を追加します。共通費とは、営業所や部門の業績とは直接関係なく発生する費用(例:給与計算費、システム費用など)を指します。
STEP 2:本社の内部費用・営業外損益を計上
本社の内部費用や営業外損益を計画し、それを記入します。これらは、営業所や支店、部門ごとに発生する費用ではなく、本社運営にかかる費用として共通費で処理します。
- 例
本社の内部費用が9.6百万円で営業外損益が0の場合、営業所や部門ごとの営業利益は -9.6百万円となります。この共通費は、営業所・支店・部門ごとに負担してもらいます。
STEP 3:各営業所・支店・部門の利益計画を記入
営業所、支店、部門ごとに営業利益や社員数を記入し、それぞれの計画を明確化します。
STEP 4:共通費の割り振り
共通費を営業所・支店・部門ごとに配分します。以下の方法が効果的です。
- 人頭割り方式
共通費を本社以外の社員総数で割り、一人当たりの共通費を算出します。
例:共通費が9.6百万円、社員数が8人の場合
[9.6百万円 ÷ 8人 = 1.2百万円/人] - 各営業所・支店・部門の社員数に、一人当たりの共通費を掛け算して記入します。
STEP 5:営業利益・経常利益の算出
共通費を反映した後に、営業所・支店・部門ごとの営業利益や経常利益を計算します。これにより、各拠点や部門の収益性が具体的に可視化されます。
STEP 6:目標営業利益と共通費の計画
営業所・支店・部門ごとに目標営業利益を設定し、共通費を反映させた計画を完成させます。営業利益が赤字であっても、営業所や部門の営業利益が黒字であれば、廃止すべきではありません。その営業所や部門が廃止されれば、他の拠点が共通費を引き受けることになり、全体の利益が減少する恐れがあるためです。
ポイント:営業所・支店・部門別利益計画を実現するために
1. 営業所・支店・部門ごとの月別利益計画を作成
各拠点や部門ごとに、月別利益計画表を作成します。「営業利益」と「共通費」を明記し、経営状況を詳細に把握できるようにしましょう。
2. 商品別・顧客別販売計画を活用
営業所・支店・部門ごとに商品別や顧客別の販売計画を立て、実践的な利益管理を行います。
3. 本社の業績管理を徹底
本社の内部費用や共通費を計画的に配分し、実績が予算を下回るよう努めることで、本社の貢献を評価対象とします。
4. 事前配賦の徹底
共通費は事前に各営業所・支店・部門へ配分し、その範囲で利益計画を立てることが重要です。毎月変動する配賦額では、責任者が適切な管理を行うことが難しくなるため、固定配賦を基本とします。
共通費の考え方:経営の透明性と公平性を向上
共通費は、企業全体の運営に欠かせない基盤費用です。これを適切に配分し、事前に共有することで、各営業所や支店、部門間の不公平感を解消し、全体最適を実現します。
営業所・支店・部門別利益計画を作成することで、各拠点の現状を明確にし、経営資源を最大限活用できます。本記事を参考に、貴社の実情に合った計画を作成してください。
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