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製造間接費の部門別計算について

製造間接費の部門別計算は、工場全体で発生した製造間接費を各部門に集計し、最終的に製造指図書ごとに配賦する一連のプロセスです。

以下にその流れを詳しく説明します。

目次

1. 製造間接費の部門別集計

製造間接費を部門個別費と部門共通費に分け、それぞれ適切に処理します。

(1) 部門個別費

  • 定義: どの部門で発生したかが明確な費用。
  • 処理方法: 各部門に直接賦課(直課)。

(2) 部門共通費

  • 定義: どの部門で発生したかが不明確な費用。
  • 処理方法: 配賦基準を用いて各部門に配賦。
    • :
      • 建物減価償却費 → 配賦基準: 占有面積
      • 電力料 → 配賦基準: 電力消費量

2. 補助部門費の製造部門への配賦

補助部門費を製造部門へ配賦する際の方法は次の2つです。

(1) 直接配賦法

  • 特徴: 補助部門間の相互サービスを無視し、補助部門費を直接製造部門に配賦。
  • 計算の簡便性: シンプルで計算が容易。
  • 適用例: 小規模工場や簡便な配賦が求められる場合。

(2) 相互配賦法

  • 特徴: 補助部門間のサービスを考慮し、段階的に費用を配賦。
    • 第1次配賦: 補助部門費を製造部門と他の補助部門に配賦。
    • 第2次配賦: 第1次配賦後の補助部門費を製造部門に配賦。
  • 計算の正確性: 配賦精度が高い。
  • 適用例: 大規模工場や正確な配賦が必要な場合。

3. 製造部門費の製造指図書への配賦

部門別計算で集計された製造部門費を、各製造指図書に適切な基準で配賦します。

  • 配賦基準例:
    • 直接作業時間
    • 直接労務費

4. 計算例

資料

  • 製造間接費の合計: 28,800円
  • 建物減価償却費: 占有面積で配賦
    • 製造部門A: 50㎡、製造部門B: 30㎡、補助部門: 20㎡
  • 電力料: 電力消費量で配賦
    • 製造部門A: 300kWh、製造部門B: 200kWh、補助部門: 100kWh
  • 補助部門費の製造部門配賦:
    • 製造部門A: 60%、製造部門B: 40%
  • 配賦基準: 直接作業時間
    • 製造指図書No1: 10時間、No2: 20時間

(1) 部門共通費の配賦

  1. 建物減価償却費の配賦
    • 配賦率 = 28,800 ÷ 100 = 288 円/㎡
    • 製造部門A = 50 × 288 = 14,400 円
    • 製造部門B = 30 × 288 = 8,640 円
    • 補助部門 = 20 × 288 = 5,760 円
  2. 電力料の配賦
    • 配賦率 = 28,800 ÷ 600 = 48 円/kWh
    • 製造部門A = 300 × 48 = 14,400 円
    • 製造部門B = 200 × 48 = 9,600 円
    • 補助部門 = 100 × 48 = 4,800 円

(2) 補助部門費の製造部門配賦(直接配賦法)

  • 補助部門の合計費用:
    • 5,760 + 4,800 = 10,560 円
    • 製造部門A = 10,560 × 60% = 6,336 円
    • 製造部門B = 10,560 × 40% = 4,224 円

(3) 製造部門費の製造指図書への配賦

  1. 製造部門Aの費用
    • 合計 = 14,400 + 6,336 = 20,736 円
    • 配賦率 = 20,736 ÷ 30 時間 = 691.2 円/時間
    • No1 = 691.2 × 10 = 6,912 円
    • No2 = 691.2 × 20 = 13,824 円
  2. 製造部門Bの費用
    • 合計 = 8,640 + 4,224 = 12,864 円
    • 配賦率 = 12,864 ÷ 30 時間 = 428.8 円/時間
    • No1 = 428.8 × 10 = 4,288 円
    • No2 = 428.8 × 20 = 8,576 円

5. ポイント

  • 製造間接費の配賦を正確に行うことで、製品ごとの原価を明確化。
  • 直接配賦法は計算がシンプル、相互配賦法は精度が高い。
  • 各配賦基準の適切な選定が正確な原価計算の鍵。
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