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■原文(日本語訳)
或る人々は〔人の〕胎に宿り、悪をなした者どもは地獄に堕ち、行ないの良い人々は天におもむき、汚れの無い人々は全き安らぎ*に入る。
(『ダンマパダ』第九章「悪」第126偈)
■逐語訳(一文ずつ訳)
- 或る人々は〔人の〕胎に宿り、
→ 一部の人々は再び人間として生まれ変わる。 - 悪をなした者どもは地獄に堕ち、
→ 悪を積んだ者は苦しみの世界(地獄界)へ堕ちる。 - 行ないの良い人々は天におもむき、
→ 善行を積んだ者は天界(神々の世界)に生まれ変わる。 - 汚れの無い人々は全き安らぎ*に入る。
→ 完全に煩悩を断った清らかな者は、輪廻から解脱し「涅槃」に至る。
■用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
胎に宿る | 再び人間界に生まれ変わること(輪廻転生)。 |
地獄 | 激しい苦しみの世界。悪業の果として堕ちる次元。 |
天(デーヴァ界) | 喜びと福徳に満ちた神々の世界。善業の果としての高次の生。 |
汚れの無い人 | 煩悩や悪を完全に離れた修行完成者。 |
全き安らぎ(ニッバーナ/涅槃) | 生死を超えた究極の静けさ。輪廻からの完全な解脱状態。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
人はその行いによって、次の存在が決定される。
悪を行えば地獄へ、善を行えば天へ、ふつうの者は人として再生し、煩悩を滅した者は輪廻を超えた完全な安らぎ――すなわち「涅槃」へと至る。
ブッダはこの偈で、「行いこそがすべてを決める」と教えている。
■解釈と現代的意義
この偈は、仏教の四生六道輪廻観と因果法則を要約した一句です。
現代的な意味においては「行いの質が、その人の人生の質を決める」とも読めます。
人は生まれや境遇ではなく、“今この瞬間に何をするか”によって、未来が決まっていく――善悪の結果は必ず現れ、それぞれの「行き先」を形づくるのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
テーマ | 応用解説 |
---|---|
キャリアの因果法則 | 不正や誤魔化しは短期的に得をしても、長期的には地位・信用を失う“地獄”を招く。 |
継続的な善行の果報 | 正直・誠実・他者貢献を重ねた人は、やがて信頼と実力によって評価される“天界”に達する。 |
誠実な人格の力 | 汚れのない精神で仕事に向き合う者は、雑音や外的評価に惑わされず、内なる平安(=安らぎ)を得られる。 |
組織文化の運命 | 社内の言動・風土・制度が善ならば発展し、悪ならば退廃する。組織もまた“どこに向かうか”は行いによる。 |
■心得まとめ
「行き先は、今の一歩が決めている」
誰もが、どこに向かうかを選んでいる。
それは未来の話ではなく、「今」の言動と心の在り方が決めているのだ。
悪に染まれば苦しみへ、善を積めば幸福へ、心を清めれば解放へ――すべては自らの手の中にある。
その一歩を、どう踏み出すかが人生の質を決定する。
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