目次
📜 引用原文(『ダンマパダ』第53偈)
心をまもらず、邪まな見解に害われ、ものうさと睡眠に打ち克たれた人は、
死神に征服されるに至る。
🪶 逐語訳(意訳)
- 自らの心を律することをせず、
- 真理に背いた邪まな見方(誤った世界観)にとらわれ、
- 怠惰と眠気に心が奪われた人は、
- やがて「死神(マラ)」の支配下に置かれ、滅びの道を歩むことになる。
📘 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
心をまもらず(acitta-gutta) | 心の制御を怠り、思慮なく流される状態。 |
邪見(micchā-diṭṭhi) | 真理に背いた考え方。因果や道徳を否定する見解。 |
ものうさ(thīna)と睡眠(middha) | 仏教で「五蓋」のうちの二つ。修行や成長を妨げる怠惰と無気力の象徴。 |
死神(Māra) | 仏教では「悪魔」や「誘惑」の象徴。悟りを妨げる存在。死と輪廻の支配者でもある。 |
征服される(abhibhūto) | 完全に制圧され、支配されること。 |
🧾 全体の現代語訳(まとめ)
自分の心を見張ることを怠り、真理から外れた考えに染まり、
怠け心や眠気に流された者は、ついには死と滅びを象徴する「マラ(死神)」の支配下に落ちることになる。
🔍 解釈と現代的意義
この偈は、仏教が重視する「正見・正念・精進」が欠如したとき、人間は自滅の道をたどることを警告しています。
心を放置し、誤った価値観に染まり、無気力に流される――
これは現代においても、精神的な崩壊や人生の停滞を招く大きな原因です。
「死神に征服される」とは、生物学的な死以上に、精神の堕落と魂の迷いを意味しているともいえます。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
マインドセットの崩壊 | 成長マインドセットを失い、「どうせ無理」「自分には関係ない」といった誤った思い込みが、本人の可能性を閉ざす。 |
習慣の怠惰と崩壊 | 意欲を失い、ダラダラと過ごす日々が続くと、気づけばプロフェッショナリズムも信用も失われている。 |
組織における腐敗 | 正しい原理や理念を持たず、責任感なく惰性で動く組織は、緩慢な崩壊をたどる。 |
自己啓発の警鐘 | 「知っているけどやらない」「気分が乗らない」で行動を怠ると、チャンスも成長も失われる。 |
💡 心得まとめ(結びのことば)
「心を見張らぬ者は、静かに滅びていく」
「怠惰と誤信の習慣は、死神への道標である」
この偈は、「精神の怠慢がもたらす死」に警鐘を鳴らしています。
現代においても、意識を高く保ち、正しい思考・行動・習慣を育て続けることが、自由と成長の鍵であることを教えてくれます。
コメント