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心の闇に智慧は届かず


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■引用原文(日本語訳)

三 よく密閉してあって暗闇にみたされた家に入ると、
そこにある諸の見事な物を、眼のある人でも見ることができないようなものである。
――『ダンマパダ』 第二二章 第三節


■逐語訳

  • 密閉された家:外部の光が入らない完全に閉じた空間。
  • 暗闇に満たされる:光がなければ、視力があっても何も見えない。
  • 眼のある人でも見えない:能力(眼)を持っていても、条件(光)が整わなければ機能しない。

■用語解説

  • 密閉された家:無知・煩悩・執着によって閉ざされた心の象徴。
  • 暗闇(タマス):無明、すなわち真理に対する無知や混乱の状態。
  • 眼のある人:知性や才能、能力を持った者のたとえ。
  • 光(プラカーシャ):智慧・認識力・真理の知見。仏教では「智慧の光明」とされる。

■全体の現代語訳(まとめ)

暗く密閉された家に入ると、たとえその中に美しいものがあったとしても、光がなければ見えない。これは、どれほどの能力や知識を持っていても、心が閉ざされ、無明(真理を知らぬ心)に包まれていては、真価を発揮することはできない、という譬えである。


■解釈と現代的意義

この詩句は、知識や才能は、それだけでは不十分であるという深い示唆を与えています。
本当に重要なのは、それを活かす「光」――つまり、内なる智慧・洞察・自己認識です。

現代では多くの人が情報やスキルを得ていても、それを正しく使えず混乱や不安に陥っています。
それは、心の中が「閉じたまま」「暗いまま」だからです。
この詩句は「まず心に光を入れよ」「智慧という光を通して、初めて価値は見える」と教えているのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
組織の透明性有能な人材がいても、情報が閉ざされていればその力は活かせない。オープンな風土こそ光を入れる鍵。
自己理解と内省スキルや知識を磨くだけでなく、自分の心の状態を整える「内面の光(自己認識)」が重要。
リーダーシップ部下に指示するだけでなく、「部下の心に光を灯す」ことで、真のポテンシャルを引き出せる。
チームビルディング知識よりもまず「信頼と共感」という光でチームの暗部を照らすことが、成果につながる。

■心得まとめ

「才ある者も、心に光なければ盲と同じ」
情報・能力・技術があっても、それを活かす智慧の光――それは「真理を見ようとする心の開放」からしか生まれません。
光なき家で物を探しても意味がないように、閉ざされた心では何も見えない。
今のあなたの心は、光が差し込んでいるだろうか?――この問いが、智慧の一歩です。

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