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切放法とは?特徴と実務での適用場面を解説

切放法(きりはなしほう)は、固定資産や投資、有価証券の減損や評価減を処理する際に用いられる会計処理方法の一つです。会計処理や簿記の学習では、特定の状況で適用される方法として登場します。

この記事では、切放法の基本的な考え方、適用場面、仕訳例などについて詳しく解説します。


切放法とは?

切放法とは、固定資産や有価証券などの帳簿価額(簿価)を減少させる処理方法の一つで、減損や評価減が発生した際に、その減少額を直接資産勘定から控除する方法を指します。

切放法では、減少額が別途計上されることなく、直接、資産の帳簿価額を修正するため、減少後の価額のみが帳簿に残ります。


切放法の特徴

  1. 減損や評価減を直接反映
    資産勘定に直接減少額を反映するため、帳簿価額が即座に減少します。
  2. シンプルな処理
    減少額を資産勘定で処理するため、追加の評価減勘定を設ける必要がありません。
  3. 戻し入れができない
    一度切り放した価額は、再評価で元に戻すことができません。

切放法の適用場面

切放法は、以下のような場面で用いられることがあります:

  1. 固定資産の減損処理
  • 企業が所有する土地や建物、設備などが著しく価値を下げた場合。
  1. 有価証券の評価減
  • 株式や債券などの市場価値が大幅に下落し、帳簿価額を見直す必要がある場合。
  1. その他資産の評価減
  • 棚卸資産やその他資産の価値が減少した場合にも使用されることがあります。

切放法と間接控除法の違い

切放法は、直接控除法とも呼ばれ、減少額を直接資産勘定に反映します。一方、間接控除法では、減少額を別途「評価勘定」などで管理します。

比較:

項目切放法間接控除法
処理の方法資産勘定から直接減少評価減勘定を別途設ける
帳簿の記載方法減少後の価額のみ記載減少前の価額と減少額を記載
シンプルさシンプルやや複雑
再評価の扱い再評価で元に戻せない元に戻すことが可能

簿記における切放法の仕訳例

例題:

  • 固定資産(建物)の帳簿価額:1,000,000円
  • 減損損失の額:300,000円
  • 減損処理に切放法を適用

仕訳:

  1. 減損損失の計上
   減損損失 300,000円 / 建物 300,000円

※ 減損損失は損益計算書(P/L)に反映されます。

  1. 帳簿価額の調整後
  • 調整後の建物の帳簿価額:700,000円

切放法のメリットとデメリット

メリット

  1. シンプルな処理
    帳簿価額が減少後の価額のみで管理できるため、分かりやすい。
  2. 負担の軽減
    評価勘定を設けないため、管理コストが抑えられます。

デメリット

  1. 再評価が困難
    一度減少させた価額を元に戻すことができないため、長期的な再評価には向きません。
  2. 詳細な記録が残らない
    減少額を別途記録しないため、過去の減少額の把握が難しくなることがあります。

実務での注意点

  1. 会計基準の適用要件を確認する
    日本の会計基準やIFRS(国際財務報告基準)において、切放法の適用が認められる場面を確認する必要があります。
  2. 間接控除法との使い分け
    詳細な管理が求められる場合は、間接控除法を採用する方が適切な場合もあります。
  3. 減損の判断基準を明確に
    減損処理が必要な状況や金額を事前に明確にすることで、誤った処理を防ぎます。

まとめ

切放法は、固定資産や有価証券などの帳簿価額を直接減少させる方法で、シンプルで効率的な処理が可能です。ただし、一度切り放した価額を元に戻すことができないため、慎重な判断が求められます。

簿記の学習や実務においては、切放法と間接控除法の違いを理解し、適切な場面で使い分けられるようにすることが重要です。

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