T社の得意先構成は、卸売が8割、小売店直売が2割という割合で展開されていましたが、得意先分析の結果、売上のほとんどが上位得意先によって支えられていることが明らかになりました。ここから、効率的でない得意先を切り、新たな戦略で優良得意先を開拓する必要性が浮かび上がりました。
得意先のスクラップ化:低収益顧客の整理
まず、卸売と小売店直売それぞれにおいて、売上がほとんど貢献していない下位得意先を切り捨てる方針を決定しました。
- 卸売の整理:売上の低い得意先20社を削減し、今後も必要に応じて削減を進めます。
- 小売店直売の整理:売上に貢献しない下位60店を切り、これにより得意先全体の収益性を高めました。
効率的な営業戦略:強力な得意先の開拓
効率的な営業戦略を実施するために、新規開拓を社長と営業担当常務に任せ、セールスマンには既存の得意先へのサービス向上に専念させる方針を採用しました。開拓する得意先には、「年商100万円以上が見込める」基準を設け、T社にとって収益性が高い顧客だけを獲得する戦略に転換しました。
地域戦略の視覚化とターゲットの特定
得意先の配置や期待される売上高を可視化するため、市街地図に売上高ランクを色分けして示し、商業地域やデパート、スーパーの位置を明確にしました。この分析により、期待されるエリアにほとんど得意先がないことが明らかになり、社長と営業担当常務は自ら新規開拓に乗り出しました。
T社の強みを活かした戦略的開拓
T社は地元での強みと、競合メーカーより「うまい」商品を武器に、根気強く地元の優良店をターゲットに営業を進めました。特に中華餞頭の人気が新規開拓を後押しし、秋には有力な得意先を次々と獲得できました。こうした有力得意先は、次の春からアイスクリームの販売にもつながる可能性が高まりました。
教訓:得意先と販売網の重要性
得意先構成と販売網の分析は、収益を最大化するための重要な情報源です。さらに、新規得意先の開拓は社長の役割であり、会社の成長にとって欠かせない活動です。得意先構成を戦略的に見直し、優良な顧客との関係を強化することが、安定した収益と事業成長に繋がります。
開拓営業は、社長の役割であって、他の誰の役割でもないのである。
※小売店直売は市内に限る。
※小さな得意先を開拓しても意味がない。いずれスクラップ化するため。
※セールスマンは、有力得意先を開拓する能力はない。セールスマンは、現在の得意先に対して優れたサービスを行うこと。
※開拓の条件としては、1年後に年商100万円以上を見込めるということを条件にする。
※セールスマン任せになると、販売網が弱いことにすら気づけない。
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