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真理を罵る者、自ら滅ぶ


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■引用原文(日本語訳)

『ダンマパダ』第十二章「自己」第164偈

「愚かにも、悪い見解にもとづいて、真理に従って生きる真人・聖者たちの教えを罵るならば、
その人には悪い報いが熟する。カッタカという草は、果実が熟すると自分自身が滅びてしまうように。」


■逐語訳

  • 愚かな人が(bālo)
  • 邪見にもとづいて(dummati)
  • 真理に従う聖者をそしれば(dhammaṃ nindati saddhammam)
  • その人に災いが熟す(phalaṃ tassa vipaccati)
  • ちょうどカッタカ草が(yathā kaccaṃ)
  • 果実が熟して自ら枯れるように(phalaṃ vipaccam vinassati)

■用語解説

  • 邪見(dummati):真理を見誤った考え方。自己中心的・無知・傲慢な認識を含む。
  • 聖者(saddhammam paṭipannaṃ):真理に基づき生きる者。仏陀の教えを実践する高徳な人。
  • 罵る(nindati):批判・嘲笑・誹謗すること。内心や言葉で否定する態度。
  • カッタカ草(kaccaṃ):インドに生息する蔓草の一種で、実が熟すとその重みで根が傷つき、自ら枯れてしまうとされる。
  • 果実が熟す(phalaṃ vipaccati):ここでは“因果応報”の「報いが満ちる」意味。

■全体の現代語訳(まとめ)

愚かで誤った考えにとらわれて、真理に従って生きる聖者やその教えを罵るような人間には、やがて悪い結果が自らに返ってくる。それは、カッタカという草が、実をつけたあとに自らを滅ぼすように、避けがたき自滅である。


■解釈と現代的意義

この偈は、「真理を軽んじる者は、自らの手で自らを破滅に導く」という深い警告を含んでいます。特に、他人の善意や誠意を愚弄したり、正しき教えを嘲笑するような態度は、因果の法則によって自分自身に破滅的な結果をもたらすことになるのです。

真理を信じ、それに従って努力する者を笑い者にすること――これは現代でもよくある風景です。しかし、それは一時の優越感を得られても、最終的には自己の内面と運命に深い影を落とすことになります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
信頼と誠意を侮る態度真面目に努力する同僚や、誠実な方針を冷笑する者は、一時的には優位に見えても長期的には信用を失い孤立する。
本質を笑う短見顧客や社会に対する理念・ミッションを「きれいごと」として馬鹿にする態度は、企業文化を内側から腐らせる。
自滅的リーダーシップ倫理や真理を軽視し、力や利を優先する指導者は、部下や社会からの反発と信頼崩壊によって自らを壊す。
学びを否定する姿勢原理原則や古典的教訓に耳を貸さず、自分流に固執する人は、自己変革の機会を失い停滞・劣化する。

■心得まとめ

「真理を嘲れば、報いは己に宿る」

正しきもの、誠実な姿、そして真理の教えを笑うことは、自分の未来を食い潰す行為である。目に見えぬ因果は、必ずその結果を実らせる。そしてその果実の重さで、自らの根が折れる。そうならぬよう、尊ぶべきものを尊び、学ぶべきものに学ぶ謙虚さを持て。

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